総合人事もAI ごますりでなく真の実力社会に?
「何であいつが出世したんだ」「採用時の面接官はオレの適性を分かっていない」。サラリーマンにありがちな愚痴ですが、それでは、公平無私に人工知能(AI)が人事を判断したらどうなるか。そんな時代がもうすぐ来そうです。【生活報道部・柴沼均】
人材サービスのビズリーチ(東京都渋谷区)は6月、人材の採用、育成、評価をAIがサポートするクラウドサービス「HRMOS」(ハーモス)を発表しました。営業力や研究開発能力、国際性など、どのような人材がほしいかは会社ごとに違います。ハーモスはその会社の社員評価をビッグデータとして蓄積。それをAIが分析します。出世するなど高い評価を受けている社員の特性が分かれば、一般的な評価基準のみではない各企業の求めている能力が導き出されるからです。採用時には、必要な人材かを見極める選考基準を面接官に示します。
さらに、入社後もハーモスの活用は続きます。これまで採用、勤怠、上司からの評価、健康管理などさまざまな人事データが分散しがちでした。それを一元化して、あらゆる人事データを活用しやすくします。営業成績のような目に見えるデータだけでなく、各仕事の要素を分解して、それぞれどのように社業に貢献しているかを分析。事務職などこれまで評価が難しかった職務もカバーできるとしています。
また、AIは学習ができるため、同じハーモスでも、導入企業の使い方に応じて、さまざまな形に発展していくことが想定されます。人間の場合、独自のノウハウがありますが、長年勤めた人事担当者が異動すると、それが必ずしもうまく引き継がれないこともあります。AIではそうしたロスもなくします。
南壮一郎社長によると、欧米では人事業務のIT支援は進んでいます。南社長は「AIのみですべてを判断するのではなく、人事の業務をサポートして業務の効率化につなげ、経営視点をもった『戦略人事』になっていけば」としており、3年後に2000社の導入を目指しています。
最終決定は人間でも、判断基準はAI。そうなると、言い訳もごますりもきかず、真の実力が評価されます。サラリーマンにとってうれしいような怖いような……。=随時掲載
しばぬま・ひとし 長野支局、東京本社社会部、デジタルメディア局ディレクターなどを経て、2014年から生活報道部で取材中。共著に「新訂新聞学」(日本評論社)。