配属先は入社してから-米企業に広がる採用方式 スキルより持って生まれた能力を重視する企業が増えている

総合配属先は入社してから-米企業に広がる採用方式 スキルより持って生まれた能力を重視する企業が増えている

米企業の中には、新入社員の業務内容を決めずに採用し、しばらくたってから配属先を決めるところがある。

雇用市場における新卒争奪戦の激しさを背景に、交流サイト(SNS)大手フェイスブックや会計ソフトのイントゥイットなどは配属部署を決めずに数十人に内定を出している。なかには、初任給の額さえ決めないところもある。

採用担当者はこうしたいわゆる「プログラム採用」が競合他社に先んじて将来有望な人材を確保することに役立っていると指摘する。大学の就職活動担当者もこうした内定を受けている学生が増えていると話す。

金融機関や消費財メーカーなどの大手企業は伝統的に、マーケティングや事業開発に関するスキルアップを目的に、新入社員の配属先についてローテーション制を採用してきた。プログラム採用はそれとは対照的に、人材の問題解決能力や分析力を「融通可能な才能」ととらえ、こうした才能を試す業務を与える方法であると、コンサルタントのマーカス・バッキンガム氏は言う。同氏は従業員の長所や業務成績の評価に関して、フェイスブックに助言を与えている。

バッキンガム氏によると、企業は規模の大小にかかわらず、技術面・戦略面での変更への順応力が高い従業員を求めており、採用に当たっては特定の業務に関するスキルよりも、持って生まれた能力やモチベーションの高さなどを重視すべきであることに気付きつつあるという。

イントゥイットの新卒採用を担当するドーン・カーター氏は、年間約200人の新卒を採用する同社がプログラム採用を始めたのは約3年前だと話す。同氏によると、採用担当者は良い人材を見つけるとその場で内定を出す権限を持って大学を訪れるため、新卒に内定を出すタイミングは以前より早まっている。

この仕組みを歓迎する学生がいる一方で、不安を覚える学生もいると、大学の就職活動担当者は話す。

バージニア大学で学生にキャリアをアドバイスしているエバレット・フォートナー氏は、具体性のない内定の申し出にためらう学生もいると指摘。「彼らの世代は自分がしたいことについて好みがうるさい」と話す。

シンディー・チョウさんは夏にイントゥイットでインターンとして働いた後、同社から内定をもらったが、入社を決めるまで5カ月を要したと話す。当時、MBA(経営学修士)課程の2年生だったチョウさんには、業務内容などの詳細がほとんど提示されなかったという。「どこか他(の会社)に決めていた可能性は十分ある」

靴や衣料を扱うネット通販のザッポスは従来型の採用方法をとっているが、同社の採用担当部署を率いるリック・ジョーダン氏は「それももう長くはない」と話す。

同社が自己管理システムによる運営体制にシフトしていることもあり、採用担当者は新入社員が自分で役割を切り開いていく方法について検討を始めたとジョーダン氏は話す。来年初頭から、同社は優秀な人材を早く確保することに採用の焦点を絞る方針だ。

ジョーダン氏は「具体的な配属先を心配するのをやめて、(優秀な新卒者を)ただここに連れてくる」ことに集中すると話した。