ハローワーク 国と地方が雇用で連携しよう

総合ハローワーク 国と地方が雇用で連携しよう

雇用政策のノウハウや財政・人的資源を持つ政府と、地域の実情に通じた自治体の能力をうまく組み合わせて、成果を上げることが大切だ。

 内閣府の地方分権改革有識者会議の雇用対策部会が、ハローワークの運営に関して、政府と自治体の連携を大幅に拡大する報告書をまとめた。政府は、年内に新方針を閣議決定し、来年の国会への関連法案提出を目指す。

 報告書は、厚生労働省の労働局と都道府県・市町村が、職業安定事業の計画策定などに関する協定を締結することを提案した。

 労働局のハローワークの職業紹介と、自治体の生活保護、就労支援などの業務の「一体的実施」を協定に明記し、全国規模で推進することも求めている。

 「一体的実施」は2011年度以降、約150自治体で行っている。同じ施設内に政府と自治体の窓口が並ぶため、求職者には便利だ。行政側の情報共有が進み、適切な支援によって就職率も上昇したという。着実に進めたい。

 報告書は、知事が協定全般について、労働局に「要請」する権限も盛り込んだ。事実上の「指示」に相当するとされる。

 埼玉、佐賀両県の「ハローワーク特区」では、知事に指示権が付与された。指示に基づき、佐賀の一部では、就労相談から職業紹介まで同じ職員が行っている。

 知事がこうした権限を持つことを、労働局との調整の円滑化に有効活用し、職業紹介の効率化につなげることが求められる。

 自治体が、政府と同様に「地方版ハローワーク」を独自に設置することも報告書は容認した。

 都市部から離れた地域での設置が想定される。求職者の利便性の向上や、地方企業の求人の掘り起こしにつなげねばならない。

 ハローワークと近接しないように設置し、業務の重複を避けることが大切である。

 全国知事会は当初、「政府と自治体の窓口が別だと、利用者には二度手間になる」などとして、雇用保険業務を含むハローワーク業務の全面移管を求めていた。

 厚労省と経団連、連合は、「職業紹介の全国ネットワークが維持できなくなる」などと地方移管に反対した。報告書が、全面移管でなく、連携強化にとどめたのは、現実的な判断である。

 重要なのは、自治体が地方創生の総合戦略の一環として、雇用政策に取り組むことだ。政府も、そうした視点で、新たなハローワークの制度設計を進めるべきだ。