総合外国人登用を阻む“シューカツ” 中国に優秀な人材を奪われる 日本独特の慣行を見直せ
平成28年3月に卒業予定の大学生・大学院生に対する主要企業の選考活動が本格化するなか、国内の大学や専門学校で学ぶ外国人留学生も就職活動に挑んでいる。企業のダイバーシティー(多様性)経営を支援するため政府は外国人留学生の日本企業への就職を支援しているが、日本独特の就職活動が壁として立ちはだかっているようだ。(阿部佐知子)
日本の「就活」の現状
インターンシップ(職業体験)、合同説明会、企業の個別説明会、リクルーターと呼ばれる大学OBとの接触、就活サイト、エントリーシート、筆記試験やSPI(適性検査)、面接、グループディスカッション…。
日本の大手企業に就職するためには、こういった多くのプロセスがある。
これに対し欧米などの海外企業の多くは、学生が就職を希望する会社に直接履歴書を送付するなどして、面接を経て採用が決まるのが一般的だ。企業も締め切りや定員をとくに設けず、必要な人材や優秀な人材がいれば、新卒か中途か、年齢などで制限せずに採用するケースが多い。
日本企業への就職活動の情報収集は外国人留学生には複雑で、日本語での大量のエントリーシートの作成や、日本人学生向けの難解な日本語力が求められる筆記試験でふるいにかけるケースが少なくない。インドの大学を卒業した後、日本で日本語専門学校で学んでパソナグループに就職したインド出身のバシン・カニカさん(25)は、インドで大学を卒業しているにもかかわらず、日本で就職するには日本の大学を卒業して「新卒」になることをすすめられた。結局、日本の大学に通うことはなかったが、カニカさんは「日本の就活は複雑。留学生採用のためには仕組みの見直しが必要」と訴える。
政府が推進する外国人留学生の活用
18日、厚生労働省は外国人留学生を対象とした企業の就職面接会を都内で開いた。外国人留学生約945人が大企業から中小企業まで110社の採用担当者との面接に挑んだ。外国人留学生は参加を登録し、履歴書を持参するだけで企業の面接を受けることができる。外国人留学生が日本で就職する機会を拡大するのが狙いで、大阪や愛知など全国各地で繰り広げる予定だ。
政府は5月、日本企業の国際競争力を高めるため外国人留学生らの日本での就職拡大を目指す「外国人材活用推進プログラム」を発表した。このなかで今年度は留学生向けの面接会のほか、大学の就職担当者や中小企業を対象に外国人留学生の採用についてのセミナーを初めて実施した。
日本企業への就職を目的に在留資格の変更を許可された外国人留学生は東日本大震災後の一時的な減少はあったが、増加傾向が続き平成25年に過去最高の1万1647人に上った。
足りない本国での情報
優秀な人材をグローバルに獲得をするためには、手をこまねいているわけにはいかない。
「日本が好きな若者は多いにもかかわらず、情報が少なく、『日本の会社は古い』『外国人は就職できない』といったイメージが強い」と指摘するのはセルビア出身でパソナグループで働くサニャ・ボゲティッチさん(31)。セルビアはユーゴスラビア紛争下での日本の支援が記憶に新しく、日本へのイメージはいいと言うが、実際に日本で就職する人材は少ない。
一方、中国は海外でジョブフェアを開催するなどして人材獲得に力を入れている。サニャさんは「取り組みの成果でセルビアでは中国に渡る人が日本に行く人の7倍以上」と話し、「現地でのイメージアップを政府が主導するべきだ」と指摘する。
今後、人口減による労働力不足を補うためにも、外国人材の積極活用が求められるなか、いかに優秀な人材を海外から呼び込むかが課題となるが、政府や企業それぞれの取り組みでまだまだ道半ばだ。