組織・制度「くるみん認定」とは? メリットや認定基準は? 22年4月の改正ポイントを解説
「くるみん認定」は、次世代法に基づき、一定の要件を満たした企業を「子育てサポート企業」として認定する制度です。認定基準が改正されるのを機に、あらためて制度の内容と目的を確認しましょう。
くるみん認定制度とは
くるみん認定制度は、2005年4月1日に施行された次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」といいます)に基づき創設されました。次世代法は、日本の急激な少子化の進行に対応して、次代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するために施行された法律です。
次世代法により、常時雇用する従業員が101人以上の企業は、従業員の仕事と子育ての両立を図る「一般事業主行動計画」を策定・届け出し、一般へ公表、従業員へ周知することが義務付けられています(100人以下の企業は努力義務)。常時雇用する従業員とは、正社員、パート、アルバイトなどの名称にかかわらず、次の(1)または(2)のいずれかに該当する者を指します。
- (1)期間の定めなく雇用されている者
- (2)過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者、または雇入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者
当初は2014年度末までの時限立法でしたが、引き続き子どもが健やかに生まれ、育成されるように環境を改善・充実させる必要があることから、2025年3月31日まで延長されました。
(1)くるみんとプラチナくるみん
くるみん認定は、「一般事業主行動計画」に定めた目標を達成するなど一定の要件を満たした企業が、「子育てサポート企業」であると申請することにより、厚生労働大臣の認定を受けるものです。ちなみに「くるみん」という愛称は、赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と、「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で仕事と育児の両立に取り組む「○○ぐるみ」という言葉から誕生しました。
そして、くるみん認定を受けた企業がより高い水準の取組みを行い一定の基準を満たすと、特例認定(プラチナくるみん)を受けることができます。
くるみん認定、プラチナくるみん認定を受けた企業は、それぞれの認定マークを商品や広告等に付けて、子育てサポート企業であることをPRすることができます。
2021年6月末時点で、くるみん認定を受けた企業は3606社、プラチナくるみん認定を受けた企業は440社でした。
(2)くるみん認定のしくみ
くるみんは、策定した行動計画が終了した後に、その都度申請することができます。すでに認定を取得した企業も、行動計画ごとに新たに申請し、認定を受けることが可能です。また、認定を受けた回数に応じて、マークに付く☆の数が増えるしくみで、その企業がこれまでに何回くるみん認定を受けたかが一目で分かるようになっています(図表1)。
つまり、くるみんは認定の取消し事項に該当しない限り、新たな目標に向かって何度もチャレンジすることができます。
(3)プラチナくるみんのしくみ
一方、プラチナくるみんに認定されるのは、1企業につき1回のみです。
特例認定を受けた後は一般事業主行動計画の策定・届け出が免除されます。その代わりに毎年少なくとも1回、厚生労働省が運営するWebサイト「両立支援のひろば」において「次世代育成支援対策の実施状況」を公表する必要があります。
この公表を怠った場合や虚偽の報告をした場合は、プラチナくるみん認定の取消し事由に該当します。一度プラチナくるみん認定が取り消されると、新たにくるみん認定を取得しなければ、プラチナくるみんを再取得することはできません。
くるみんもプラチナくるみんも、改正によって認定基準を満たさなくなり、取消し事由に該当するケースも起こり得ます。認定を取得した後も、「子育てサポート企業」としての取組みをアップデートしていく必要があります。
くるみん認定基準改正の背景
2022年4月1日から、くるみんおよびプラチナくるみんの認定基準が引き上げられます。これには、次のような背景があります。
【1】育児・介護休業法の改正
2020年の雇用均等基本調査によると、女性の育児休業取得率は81.6%で8割を超えているのに対し、男性の育児休業取得率は12.65%でした。初回調査以来過去最高であるものの、男女の取得率には大きな差があります。
そうしたなか、2022年に施行される改正育児・介護休業法には、男性の育休取得を促すため、子の出生直後に現行よりも柔軟に取得できる休業制度の創設や、職場環境の整備を義務付ける内容が盛り込まれています。
具体的には、社内風土や職場の雰囲気によって取得状況に格差が生じないよう、事業主に対して取得の申し出をしやすい職場環境の整備や、制度の利用対象となり得る従業員への個別周知を義務付けています。
【2】男性の家事・育児参加と女性の就業継続の関係
厚生労働省の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2019」によると、「夫の家事・育児時間が長いほど、妻の就業継続割合が高く、また第2子以降の出産割合も高い」という結果が報告されています。
男性が家事・育児に主体的に関わっていくことで、女性の雇用継続や夫婦が希望する数の子どもをもてるようになることが期待されます。
【3】不妊治療と仕事の両立支援
2021年2月に改正された一般事業主行動計画策定指針では、不妊治療を受ける従業員に配慮した措置の実施が追加されました。
近年の晩婚化などを背景に、不妊治療を受ける夫婦が増加し、働きながら不妊の検査や治療を受ける人は増加傾向にあります。しかし、厚生労働省が行った「平成29年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」によると、16%の人が、仕事と治療の両立ができず離職しています。
仕事と不妊治療の両立を困難にしている要因としては、精神・体力面での負担が大きいことや、通院回数が多いこと等が挙げられています。また、企業側に不妊や不妊治療に対する正しい知識が不足していて、企業内の支援が進まないことも考えられます。
人手不足のなか、企業においても、不妊治療を受けながら働き続けることができる職場環境を整備することは、重要な課題です。
すでに不妊治療と仕事の両立を支援している企業のなかには、不妊治療のための休暇(休職)制度の導入、治療費の補助や融資など、独自の制度を取り入れている例もあります。しかし、治療を行っている人のなかには「治療をしていることを知られたくない」「周囲に気を遣われたくない」という理由で、不妊治療をしていることを職場でオープンにしていないケースがあります。
そこで、個人のプライバシーにも配慮できる支援策として、誰もが柔軟に働くことができる時間単位の年次有給休暇、時差出勤、フレックスタイム制、テレワークなどの制度導入が求められます。
新たな認定基準と不妊治療の両立支援マーク
【1】「トライくるみん」の創設
現行のくるみん認定と同等の認定として、新たに「トライくるみん」が創設されます。それに伴い、現行の「くるみん」「プラチナくるみん」の認定基準が見直されます(図表2、3)。
トライくるみんの認定基準は現行のくるみんと同じで、改正後は、トライくるみん認定を受ければ、くるみん認定を受けていなくても、プラチナくるみん認定を申請することができます。
【2】不妊治療と仕事の両立支援に関する認定制度の創設
さらに、この3種類のくるみん認定に付随して、不妊治療と仕事の両立に取り組む優良な企業を認定する新しい制度が誕生します(図表4)。
愛称とマークは未定(2021年12月末時点)ですが、「○○トライくるみん」「○○くるみん」「○○プラチナくるみん」というように、それぞれのくるみん認定と一体的に表示・活用できるものが想定されています。
【3】認定基準改正に伴う経過措置
くるみん、プラチナくるみんの認定基準等の改正に伴い、次の通り経過措置がとられます。
(1)認定に関する経過措置
2022年4月1日から2024年3月31日の間の認定申請については、くるみん、プラチナくるみんともに、現行の基準でも認定基準を満たしたと見なされます。ただし、付与されるくるみんマークは新しいマークではなく、現行のマークとなります。
(2)プラチナくるみん認定の取消しに関する経過措置
プラチナくるみんは、認定取得後に「両立支援のひろば」で公表した「次世代育成支援対策の実施状況」が2年連続で同じ項目の基準を満たさなかった場合、取消しの対象となります。
今回の改正に伴い、公表前事業年度が2022年4月1日から2023年3月31日までを含む場合は、新基準を満たしていなくても、現行の基準を満たしていれば取消しの対象になりません。
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くるみん認定制度は、もはや子育てサポートだけでなく、妊娠、出産を含め幅広く支援する企業の認定制度に変わりつつあります。
今回の改正を機に、企業の実情に合わせた取組みを行い、さらなる企業のイメージアップや、優秀な従業員の採用・定着に向け、従業員エンゲージメントを向上させてください。



