総合(ウチの働き方改革)多様な人材、自分らしく仕事 働く時間・場所は自由、ユニリーバが導入
世界的な消費財メーカー、ユニリーバの日本法人、ユニリーバ・ジャパン(東京)が、日本企業の人事担当者の注目を集めている。いつでもどこでも自由に働くことを認めるユニークな制度「WAA(ワー)」=キーワード=を導入したからだ。日本で独自に生まれた制度だが、ユニリーバ・グループ全体の理念に基づいているという。その理念とは何か。グループ全体の人事部門の最高責任者を務めるリーナ・ネアーさんに聞いた。(聞き手・植松佳香)
インタビューに答えるリーナ・ネアーさん
――ユニリーバは、ダイバーシティー(多様性)を重視しているそうですね。
人種や年齢、ジェンダー、障害の有無、考え方の違いなどにかかわらず、すべての人が自分らしく働けることを目指しています。社員一人一人に、潜在能力を最大限、伸ばしてほしいと考えています。
――多様性を重視して日本法人で生まれた「WAA」が、「異次元」の働き方改革として注目されています。
うれしいことですね。多くの社員がWAAを利用して、生産性も伸びました。多様な人材が柔軟に働ける新しい働き方を、より多くの企業や組織に広げるべきだと感じます。仕事ばかりでなく、人生の中で違うこともできるようにしてあげないといけません。
――日本では労働時間に着目した「働き方改革」が盛んになってきています。
労働時間も妥当な形にしないといけませんね。フィットネスや学びの時間を持ち、自分に投資していくのは大事なことです。WAAのような取り組みが、働き方を見直すきっかけになればと思います。
――なぜ、多様性が重要なのでしょうか。
多様性があるほど、いろんなアイデアが出て、イノベーションが生まれます。ダイバーシティーはビジネスの成長基盤であり、経営戦略の一部であるべきものです。
人はみな先入観や偏見を持っています。それぞれがどんな考え方や先入観を持っているのかを語り合い、各人のストーリーをみんなで共有するようにします。その上で、どのストーリーも尊重するのです。多様な人たちが一緒に働くと、相乗効果が得られます。
――そういう思いに至ったのは、ご自身の経験が大きかったそうですね。
インドでユニリーバの現地法人に入社した時、1万5千人の社員のうち、女性は3~4人でした。初の女性人事マネジャーとして工場に赴任したときも、ほかに女性はおらず、抵抗されたり、嫌がられたり。「なんで女性が?」と言われ続けました。それで、後に続く女性たちにもっと生きやすい環境を作ってあげたいと思ったんです。それが情熱の原点です。
――くじけそうになったことは?
そういう瞬間はありますよ。忙しいし、子どもは小さかったし。でも、自分の目的がはっきりしていて、それが実現できる自分になりたいという気持ちがあれば、誰かが助けてくれて、乗り切れます。私はとくに夫に支えられました。
■成果主義の評価制度がカギ
――WAAを導入できたのは、成果主義に基づく評価制度が整っていたことが大きいそうですね。世界共通の人事評価制度も拡充させたとか。
世界各国で働く16万9千人の社員を、同じ制度で評価しています。何をしたら、どう評価されるのか。すべての文化圏の社員が分かりやすいように、制度はシンプルなつくりです。具体的には、年初に社員と上司が話し合い、その年の個人目標を立てます。業務目標だけでなく、自分の強みは何か、どこをどう伸ばしたいかも話し合います。1年を通じて進捗(しんちょく)を確認した後、目標に対する達成度や、どうリーダーシップを発揮できたかを、再度話し合って評価するんです。
◆キーワード
<WAA> 働く場所と時間を社員が自由に選べる制度。ラックス、リプトンなどのブランドを持つユニリーバの日本法人、ユニリーバ・ジャパンが独自に作り、昨年7月に導入した。「Work from Anywhere and Anytime」の略で、「ワー」と読む。
平日午前6時~午後9時の間なら勤務や休憩の時間を自由に決められ、勤務時間は1日1時間でも細切れでも構わない。自宅やカフェ、図書館など好きな場所で働ける。上司に「この時間はここで働く」と事前に伝えて承認を得るだけで利用でき、理由はいらない。制度を利用する期間や日数の制限もない。工場勤務と営業の一部を除く全社員約400人が対象。
同社は制度の社外向け説明会を開くなど、改革の理念を他企業に広める取り組みにも力を入れている。
