総合採用担当者向け 採用マーケティングの全体像を整理しました
「採用マーケティング」
「採用広報」
という言葉を最近よく聞くけれども何から始めて良いか分からない、そんな人事担当の方向けに、レアジョブでの経験や当社が運営する「AI求人票採点サービスFindy」を通した分析、人事の友人とディスカッションした話をベースとして、採用マーケティングの全体像を整理しました。
なお、マーケティングと広報(PR)の違いについては、このサイト「意外と知らないマーケティングとブランディングの違い」[出典:btrax (ビートラックス)]が参考になります。
一言で言うと以下と説明できます。
- マーケティング:自ら自社(サービス)の良さを伝える
- 広報(PR):他者、特にメディアが自社(サービス)の良さを伝え
並べてみると分かりますがマーケティングより広報で成果を出す方が難易度が高くなります。理由はメディアを中心とした他者が良さを伝えてくれるようになるまで、一定量のマーケティング活動が必要になるからです。そこで今回は誰でも取り組むことができる「採用マーケティング」に焦点を当てて整理していきます。
採用マーケティングの全体像
まず、以下に採用マーケティングの全体像をまとめてみました。

これはあくまで簡素化した1つの例ですが、一番大事なことは自社で取り組んでいる採用活動をステップ毎に分解して、現状何が課題になっているかを明らかにすることです。
例えば、採用サイトにはFacebook広告などを使って集客できているんだけど応募率が低いというKPI上の課題を見つけた場合は、応募率を改善するために採用サイトの改善を行うといった具合に課題の明確化とアクションの優先順位付けが可能となります。
社内活動の整理
それではまず一つ目の社内活動からみていきます。なお、インパクトとコストは以下の通り定義した上で、筆者の主観と経験を基に「◎、○、△」付けており、会社によっては必ずしもこの限りではない点だけご承知おきください。
- インパクト:アクションを実施した際の効果
- コスト:アクションを実施する場合の費用面、人件費面でのコスト

求人票作成
まずは、どんな人が欲しいかの人材要件定義ができていないと、その後の応募や内定の数、自社とマッチ度に大きく響きます。なんとなく、「良い子、強い子、元気な子」や「マーケティング部の○○さんと似た優秀な人」ではなく、以下を採用案件毎に整理することをオススメします。
- 仕事内容:どんな仕事を任せる予定か
- 必須スキル:どんなスキルが必須か
- 歓迎スキル:どんなスキルがあると採用されやすいか
- 求める人物像:どんなキャラクター、人物の人に応募して欲しいか
- この仕事の魅力:この仕事にはどんな魅力があるか
- 開発言語・環境:(エンジニアのみ)開発に使う言語や環境は何か
これらを採用部門と人事部門の間で、言語化して確認することは、採用活動の効率化だけではなく入社後の活躍まで見据えて非常に効果的です。逆にここが間違っているとあらゆる採用活動が無駄になってしまうことがあります。
実際に採用部門へのインタビュー実施などを含めると作成に数時間から10時間程度かかってしまいます。ただ、入社後にやっぱり違ったとなると計り知れないコストになるので、やはりここを妥協しないことが大事です。参考になる求人票は当社のFindy(ファインディ)でも検索できるので活用してみてください。
求人票の優先順位付け
どこの会社の人事部門も、「新卒採用がスタート」、「中途採用でエンジニア増員」、「営業部門に欠員が出たので補充」など、現場から止まることのないニーズに対応しています。それら採用要件全てに同じレベル感で対応したり、採用人数の充足だけを目標に設定すると、人事部門のリソース分散により採用活動が中途半端になってしまったり、本来採用すべきではなかった人の採用してしまったり、大きなロスが発生します。
これらは社内、あるいは事業部門内で求人票の優先順位付けを行うことで回避できます。例えば、以下です。
- 募集要件の一覧作成
- 各募集要件に対して難易度とかかりそうなコストを追加
- 上記や各部門のヒアリングを踏まえた上で責任者が優先順位付け
を行います
これを定期的に行うだけで採用活動を通してのロスが削減できます。あとは、人事のリソースが足りない場合こそ、こうした優先順位付けを基に、全社的にも優先順位下位の場合は現場にも採用を頑張ってもらうよう伝えることも効果的です。
社員紹介
社員紹介もコスト面から見て、ぜひ活用したい手段です。ただし、単純に制度だけ策定しても社員紹介の利用は増えません。一番大切なのは制度設計ではなく、そうしたアクションを賞賛する企業文化作りになります。
また、社内のエンゲージメントを高めることが社員紹介に最も効果的です。従って長期的なアクションと捉えて取り組んでいく必要があります。
以下の記事にレアジョブで社員紹介を増やす上で取り組んだことを記載しています。
採用会食
採用会食も社員紹介と同様に社内での利用促進が難しいアクションとなります。よく「採用会食の制度を作ると悪用されませんか?」という質問も頂くのですが、実際には利用促進を促す方が圧倒的に難しいです。社内の雰囲気作りのためには採用会食について社内イベントで紹介したり、採用会食を行なっている人を賞賛するような仕掛けが必要となります。
採用管理システム導入
社内活動の最後は、採用管理システム導入についてです。採用管理システムはKPIの見える化や KPIを分析した結果の活用に便利なツールです。ただし、採用部門の人数が少ない時はまずExcelを使って自社で管理を始めた上で、手間がかかるなと感じたり、他のメンバーにも共有したいと感じた際に導入するのが最適です。イメージは採用担当が複数人になり、アシスタントをもう一人雇うよりは、導入した方が手間が省けて効率的だと感じるタイミングがお勧めです。
社内メディア・イベントの整理
次に社内メディアやイベントの活用についてご紹介します。

採用サイト
人材紹介経由であっても媒体経由であっても多くの応募者が企業の採用サイトを見てから応募したり、面接に来たりします。そのため採用サイトが最新の状態であることはもちろん、コンテンツの充実も大切にります。
ただし、採用サイトはコンテンツのアップデートに工数がかかる仕様になっていることが多いため後回しになりがちです。裏側をワードプレスで作るなどできる限り更新しやすいサイト設計にし、定期的に人事部門でコンテンツをアップデートできるよう開発することをお勧めします。
また、採用サイトにインタビュー記事を追加したり、求人票を更新したりといったマイナーなアップデートから少しずつ始めてみることも大切です。
自社ブログ・メディア
自社ブログ・メディア運用の最大の課題は継続です。 実際にスタッフブログを立ち上げてみたものの全く更新していない会社はたくさんあります。そしてスタッフブログが更新されてないままサイトに残っていると訪れた候補者にとっては非常に残念な感じがするものです。
ブログやメディアはすぐに効果を感じにくいこと、そもそもブログを書くということ自体が非常に手間がかかること、そして人によっては書くことが苦手ということから敬遠されがちです。もちろん採用サイトのコンテンツ充実の方が優先順位は高いですがコロプラさんやメルカリさんのように自社メディアを充実させることで集客だけでなく候補者や社員のエンゲージメントを高めている例も多く見られるようになってきています。
ただ、コストがかかることは変わりないので他の採用マーケティングの活動で成果が出始めてから取り組むのがお勧めです。
外部イベント参加
次に外部イベントの参加についてです。採用メディア主催のイベント、或いはエンジニアやマーケターなど職種別で開催されるイベントが増えてきています。そうした場に参加することは自社のブランド価値は上げることや実際にそこからの応募者を獲得することが期待できます。ただ、ある程度の集客力がない会社だと、登壇でもしない限りなかなかブーズに人を呼べないという課題があります。
社内イベント開催
社内イベントについてはこちらも自社ブログやメディアと同じく継続が一番難しい分野です。最初にイベントを開催してみると数人しか参加がない、思ったような参加者が来ないなど人事担当者が打ちのめされたり、参加した社員からクレームが出たりということも多々あります。
ただ、イベントも自社メディアやブログと同様にトライアンドエラーを続けていく中で自社に最適なイベントの形というものを模索していくこと大切です。こちらも他の採用マーケティング活動である程度の成果を見込めてから徐々に初めて行くのが順番としてはいいでしょう。まずは他社との共催から始めて勘所をつかんでみるというのもお勧めです。
外部メディア
外部メディアについては他でも多く語られているので、一部だけご紹介します。

Indeed、Facebook広告
Indeed や facebook の広告も採用募集の認知を集めるために有効です。これらはいわゆる web マーケティングのノウハウを採用マーケティングに応用する事例です。特に indeed は管理画面も非常に分かりやすく、web マーケティングに精通していない人でも容易に使うことができます。まだまだ日本国内での利用事例も少ないので広告単価も安く早めに使うことをお勧めします。
以下にメルカリさんの詳しい利用事例が掲載されてます。
(出典:Seleck)
また、facebook 広告の活用という手段もありますが、通常のサービス・商品広告との競争の激しいので採用に使う場合にはある程度の広告運用スキルが必要となります。自社イベントの集客などから徐々に活用してみるのがお勧めです。
何から始めたら良いかわからない場合
ここまでの記事を読んで、では何から始めようと迷っている方も多いのではないでしょうか。スライドにはアクションのインパクトだけでなくコストも記載しています。まずはアクション選びの定石として、コストが低いものをとにかくたくさん試し打ちしていくというのがおすすめの順番です。
具体的には
- 採用活動をステップ毎に分解
- 求人票の優先順位付け
- 一部求人票の改善をした上で、掲載しているメディアや頼んでいる人材紹介への再説明
- 外部イベントに参加し、自社の立ち位置を確認
- 採用サイトの改善箇所をリストアップ、一部改善開始
あたりから始めていくのがお勧めです、まずは何よりも小さく始めて結果を見た上で、再度何をやるかを企画する、このサイクルの回転数を増やせば増やすほど成果に近づいていきます。