のんびりわが子の「就活スイッチ」の入れ方 「売り手だから余裕」の話を過信してはダメ!

新卒のんびりわが子の「就活スイッチ」の入れ方 「売り手だから余裕」の話を過信してはダメ!

就職活動中の子どもを持っている親御さんは、この年末年始、ちゃんと就活について話ができましたか。「まだ大丈夫!」「今年は余裕だから」といった話を、過信しすぎてはいませんか。

「子どものままでは採用できない」と人事担当者

確かに、ここ数年は売り手市場(学生優位)が続いており、今年(2018年卒採用)も、昨年(2017年卒採用)と同程度の採用環境になると予想されています。

しかし、文部科学省が発表する「学校基本調査」の大学卒業者の進路状況を見ると、どんなに売り手市場でも、7~8人に1人がニートやアルバイト、非正規就労者という結果になっています。採用ニーズはあるのに、なぜなのでしょうか? 要因はさまざまにありますが、そのひとつとして、ある人事担当者は「子どものままでは採用できない」という言葉で表現していました。

多くの学生は、自分を大切に守ってくれる大人ばかりに囲まれ、生活しています。リスクを排除してくれる社会サービスも充実しているので、子どもっぽさを強く残したままの学生も少なくありません。また、消費者としての目は肥えていますが、提供者側のビジネス社会には驚くほど興味がなかったりします。就職先の希望を聞いても、現実的でない甘いイメージや、相手に期待する受け身の要望が目立ちます。

たとえば、こんな感じです。
・書くことが好きなので出版社かマスコミ関係かな。
・ゲームが得意だから、それを活かせる仕事がしたい!
・自分を見守って、育ててくれる会社がいいな。
・自分に向いている仕事を教えてほしい。

いくら能力が高くても、学歴がよくても、子どもっぽさを多く残したままでは苦戦するでしょう。就職できたとしても、職場ですぐに行き詰まってしまいます。ある程度は実社会にアジャストした大人のコンピテンシー(行動特性)を形成させる必要があります。

本格的な就職活動を直前に控えたこの時期、親は「社会人の物さし」となって、適切な行動、労働条件の相場観、企業内コミュニティの様子などを伝えるとよいでしょう。そうすることで自分を実社会にチューニングさせたキャリアイメージを持てるようになるはずです。

就活スイッチの入り具合を確認

とはいえ、この時期に親から就職の話をふられることを、子どもはどう感じているのでしょうか。知り合いの学生17人に「年末年始に親から就活の話を振られるのはOKかNGか」を訊いたところ、OK47%、NG53%と、NGが若干多い結果となりました。回答数は少ないですが、この結果は皮膚感覚としても納得できます。積極的に話をしたいわけではないので、いきなり親から「もうすぐ就活でしょ、大丈夫なの?」と声をかけたところで、「うん」の一言で終わるか、口をつぐんでしまうのがオチです。そもそも、どういう状況なら大丈夫なのかが分からず、不安を感じている学生がほとんどです。

まずは、子どもの様子から、就活スイッチの入り具合いを確認しましょう。参考になりそうなチェックポイントをいくつかあげておきます。

髪型や色
・男性/短髪、黒髪になっているか
・女性/落ち着いたトーンの髪色か

持ち物
(キャラクター物など
社会人としてふさわしくない物を使っていないか)
・ペンケースや文具
・スマートフォンケース
・腕時計 など

身だしなみ
・リクルート用のカバンを持っているか
・男性/白いワイシャツを複数枚持っているか
・女性/派手なネイルをしていないか

今年の就活は短期かつスピード化が予想されています。2月には企業の動きが活発になるはずです。就職活動の基本は社会人と会うことですから、「社会人の物さし」で、違和感のある外見や態度は今からアドバイスしたほうがよいでしょう。

チェックポイントの結果を見て、就活スイッチがまだ入っていないようなら、そろそろスイッチをONにする必要があります。おすすめのアプローチは2つ。1つは、喉の渇きを自覚させる、つまり「このままじゃヤバイ!」と危機感を持ってもらうこと。もう1つは、知らない世界、ビジネス社会への興味をかき立てることです。

就活スイッチの入れ方1 危機感を持たせる

ふだん読んでいる新聞やビジネス雑誌などを、読み終わった後でいいので、子どもに渡しましょう。「この時期なら読んで当たり前!」という感じでお願いします(笑)。そのとき、話題の時事問題について、意見を求めるのも有効です。やはり「知っていて当然!」という感じでいきましょう。

子どもの意見は、「社会人の物さし」で判断してください。とくに根拠となる事実の妥当性が大切です。物足りなさを感じたら、社会人が納得できるレベルの意見ではないことを、端的に伝えるとよいでしょう。同時に、話す力は場数を踏むこと、つまり社会人と会話をすることで身についていくことも、アドバイスしてください。危機感をあおるだけでは、萎縮して逆効果になりかねません。

就活スイッチの入れ方2 興味をかき立てる

就活に前向きになれない理由として、実社会への不安や恐怖をあげる学生もいます。失敗すれば責任を取らされる、ノルマを達成できなければペナルティを受ける、といった過剰に厳しいイメージを持っていて、実社会との接触をできるだけ避けたがるのです。

普段の会話として、職場での笑い話や同僚や部下とのポジティブなエピソードを伝えれば、少しはイメージが和らぐはずです。もし、子どもに会わせたいと思う魅力的な社会人がいれば、紹介するのもよいでしょう。大学や専攻が同じなど、共通点のある社会人を紹介するのも有効といえます。女子学生なら、仕事と育児を両立させている女性社員の話を聞きたがる人は、多いはずです。

「自分の言葉」が必要、親は聞き役に

危機感にしろ、興味にしろ、外の世界に目を向けさせて、行動に移す道筋を示すことが大切です。過剰なお膳立ては、子どものメンタリティを助長してしまうので避けてください。ちょっと不親切ぐらいがちょうどいいでしょう。

就活では本人のキャリア観が問われます。ビジネス社会での生き方を自分の言葉で語る必要があります。ですから、親は聞き役が基本。話を聞きながら、根拠が弱いと感じたら、「なぜ?」「どうして?」と問いかけるとよいでしょう。問われれば言語化がすすみます。そうやって少しずつ自分のキャリア観が形成されていきます。

子どものキャリア観を就活を通じて知ることは、意外な発見につながるかもしれません。それは、親と子どもが“守り守られる関係“から、“互いの価値観を尊重し合う関係”に変化するきっかけにもなるでしょう。