総合「スカイプ面接」の罠、熟練の面接官でも判断ミス
スカイプ面接が増加する理由
いいことづくめに思える「スカイプ面接」。しかし大きな落とし穴があるようです

最近、遠距離や海外にいる候補者との「スカイプ面接」が増えています。
少し前までは企業と候補者の住む場所の距離が離れている場合、一次面接は交通費が出ず、二次面接から出るのが一般的でした。このため企業の対応は「一次面接は東京にいらっしゃるついでの時にでもお時間をとってください。極力時間を合わせるようにしますので」というパターンが一般的でした。
ところが採用競争が激しくなっている現在は、そんな悠長なことをやっているわけにはいきません。それこそスカイプ面接をやっている他社に後れを取ってしまうでしょう。グローバル化の進展で、候補者が海外に居住しているケースも増えています。
こうして距離に伴う時間や費用の問題を解決し、転職プロセスを効率化する手段としてスカイプ面接が増加するようになりました。私たちも遠距離にいる候補者の一次面接には、スカイプ面接を企業におすすめしています。
ただし、スカイプ面接の限界も当然あります。スカイプでのやり取りではとてもよく見えたのに、候補者と実際に会ってみたら「あれっ……」と思うことは珍しくありません。ある程度のところまでは画面を通じてわかっても、やはり直接会ってみないとその人の持つオーラや細部までは見えないのです。
画面越しに見えるもの、
確認できないもの
当社には日本各地の人材紹介会社をネットワークしてUターン・Iターン転職を支援するリージョナルスタイルという関連会社があり、東京にいる我々がアテンドした候補者を地方の人材紹介会社がスカイプ面接をする機会があります。そのとき、熟練の面接官はスカイプ面接の後、必ずアテンドした当社のスタッフに感想やコメントを求めます。
「あまり元気のない方でした」
「えー、画面で見た印象とは違いますね」
そんなことが起きたりするわけです。中にはマネージャー採用の候補者で、面接の印象は良かったが靴がとても汚かったのでマイナス点をつけられた人もいました。スカイプでは足元まで見えませんが、候補者と同じ場にいるスタッフがきちんとリアルな目で見ていたのです。
限界のあるスカイプ面接は極端に合理主義的な会社でない限り、一次面接や補助的な手段に留めている企業が多いようです。先日、全国に拠点を拡大中のあるIT系企業の役員と話をしたときも、地方採用の候補者とはスカイプ面接を行うが、これはいいと思った人はそのまま評価するのではなく、必ず現地のスタッフに連絡を取ってコメントをもらい、採否の判断材料にしていると語っていました。
候補者側に視点を移すと、スカイプ面接は距離や時間の問題を解決してくれる便利な手段ではあるものの、応募した企業の社員やオフィスの様子を自分の目で確かめられないという欠点があります。画面越しに会社の雰囲気や社風まではなかなか伝わってきませんから、それだけでこれから自分が働く会社をジャッジするには心許ない。
結局、企業も候補者もスカイプは活用するにせよ、直接会う機会は必ずつくらねばならない、ということになります。それも、会う回数は多ければ多い方がよい。
もちろん無駄にたくさん会えと言っているわけではありません。面接は少ないほうが結果も早く出て効率がよいと思っている方がいるかもしれませんが、企業と候補者がお互いを深く理解するにはそれなりの時間と手間が必要なのです。
「誰とやるか」を重視すれば
たくさん面接が必要になる
日本のある領域でナンバーワンのシェアを誇る外資系企業に、某コンサルティング会社のパートナーが転職したときのことです。彼は海外MBA持ちで事業会社の経験もあり、かつ名の知れたコンサルティング会社のパートナーです。すぐにでも転職が決まるのかと思いきや、この外資系企業では「グローバルのパートナー全員のOKが出ないと採用はできない」という決まりがあり、彼は世界中の各エリアを飛び回り、現地にいるパートナーに集まってもらい面接を行ったそうです。
面接をすべて終えるのにかかった期間はおよそ2ヵ月。そしてようやく「総意が得られたのでぜひ一緒にやりましょう」とのオファーが出たときは「とても嬉しかった」と語っていました。
ここまでやるとその会社でどんな人たちが働いているかを理解できますし、同時に自分のことをきちんと理解してもらえます。たくさん面接をすればいろいろ至らない面もさらけ出すことになるので、素の自分で勝負するしかない。それを見て評価してもらう一方、こちらもたくさんの社員と会って情報を得るので、多少の疑念は残るにせよ、入社の決断を間違う可能性は非常に低くなります。
言い方を変えると転職では「何をやるか」も大切ですが、「誰とやるか」を重視すればたくさん会う必要があるということです。転職活動を「何をやるか」だけで考えると、必要なスペックさえ合えばよいのでできるだけ効率的に、という見方になってしまいますが、現実には「誰とやるか」のほうがより重要であることはみんな実感しているはずです。
スカイプ面接に話を戻すと、非常に有用なツールであるのは確かですが、それですべて完結するわけではないし、転職プロセスの効率化ばかりに目がいくと「誰とやるか」の確認がおろそかになる恐れがあることに注意してください。