派遣派遣で多様な働き方を後押し リクルートスタッフィング・柏村美生社長
人材・販促メディアサービス大手リクルートグループの人材派遣会社リクルートスタッフィングのトップに柏村美生社長が就任してから半年。入社以来、結婚情報誌「ゼクシィ」の中国版や、美容サロンの検索・予約サイト「ホットペッパービューティー」などを手がけ、人材分野は初めてという。派遣会社の立場から「多様な働き方の実現」を目指す柏村氏に、今後の人材ビジネスについて聞いた。
◆ニーズに柔軟対応
大学で福祉を専門に学び、卒業後は精神障害者の社会復帰支援の仕事をしようと考えていた。しかしボランティアで関わる中で、福祉事業が補助金の範囲で終始する様子を目の当たりに。「このまま福祉の世界に入っても社会は変えられない」と、民間企業へ目を向けるようになった。自ら収益を上げることで、社会の仕組みをつくる方へ携わろうと考えたのだ。
当時から就職活動市場にいち早く目を付けるなど「ニッチ分野の課題解決に積極的だった」リクルートに入社を決めた。
学生時代に抱いた「全ての人に役割のある社会をつくりたい」との思いが今も、仕事に対峙(たいじ)するときの原点にある。「超高齢社会になっても、全ての人が社会との接点や役割をもてるのであれば、日本は元気なはず」
トップとして「多様な働き方の実現が派遣会社の大きな役割」と捉えている。人口減少社会の到来で、政府は育児や介護など時間に制約のある人も活躍できるようにと、長時間労働の見直しを掲げているところだ。企業の取り組みも増えているが「人事制度やマネジメントの問題など、なかなか(改革が)進まない理由が経営側にもある」と指摘する。
「その点、派遣は人事制度を触らずに多様な働き方を実現できる」。例えば「深夜勤務は難しいが、週3の定時ならば働ける」といった働き手のニーズに対し、会社全体をいきなり変えるのはハードルが高い。社内規定を変えるにも手続きが多く労働組合との交渉も必要だ。しかし派遣会社ならば、こうしたニーズを元に企業側との交渉で実現できる可能性がある。
◆企業の進化に貢献
派遣スタッフのケースを通し、企業側も柔軟な働き方の試行が可能だ。「(企業と派遣スタッフと)互いのニーズにウィンウィンの関係をつくっていけば、多様な働き方が生まれていく。同時に、企業の進化もお手伝いしたい」
リーマン・ショック以降の不況で一時、企業側が経営悪化を理由に派遣契約を打ち切る「派遣切り」が注目された。派遣という働き方をめぐっては、雇用が不安定などネガティブなイメージもある。
「不景気で失業した派遣社員がいたのも事実。だが今は(派遣元にキャリアアップ支援が義務づけられるなど)派遣法も改正され、研修などキャリア支援の取り組みに業界全体で力を入れている」。現況を理解してもらうと同時に「私たち派遣会社が価値を上げていく必要がある」と気を引き締める。
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【プロフィル】柏村美生
かしわむら・みお 1998年3月、明治学院大社会学部社会福祉学科卒。同年4月、リクルート入社。リクルートライフスタイル美容情報統括部長、リクルートホールディングス執行役員(現任)などを経て、2016年4月から現職。42歳。東京都出身。