【介護離職に備えよ】日本人の“平均年齢”世界一の現実 親の介護、準備不足で離婚危機にも

総合【介護離職に備えよ】日本人の“平均年齢”世界一の現実 親の介護、準備不足で離婚危機にも

「介護離職ゼロ」。昨年秋に安倍晋三首相が「アベノミクス三本の矢」として打ち出したテーマなので、記憶している人もいるだろう。しかし、私はこの時、「ゼロ? それは無理だろう!」と声を上げてしまった。

総務省「ICT超高齢社会構想会議報告書」(国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成24年1月推計より)

総務省「ICT超高齢社会構想会議報告書」(国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成24年1月推計より)

 

私はこれまでバリアフリーマーケティングをテーマに自動車や家電メーカーなどのアドバイザーや職場での講演、「オヤノコト・エキスポ」というイベントの開催など、高齢化に伴う諸問題に対応すべく、新しい付加価値市場の創造に取り組んできた。だが、「介護離職ゼロ」は非現実的なスローガンだと思う。

では、なぜ今、この問題を安倍首相が口にしたのか? それはわが国の人口動態の変化が大いに影響している。

例えば、日本人の平均年齢(平均寿命ではない)は、いまや46歳(国立社会保障・人口問題研究所のデータから推計)。1950年に22・2歳だったことを考えれば、世界トップクラスだ。

米国は37・6歳、中国は36・7歳と40歳に近いが、リオ五輪で盛り上がったブラジルは30・7歳、インドは27歳。まさに世界で一番、平均年齢が高いのが日本なのだ。

そんな状況下で、日本は長寿化が進んだ。いまや男女ともに平均寿命は80歳を超えた。50年は男性58歳、女性61・5歳、70年には同69歳、74歳、80年で同73歳、79歳だったことを考えれば、これまでは子供世代が50代になる前に親は亡くなっていることが一般的で、介護や認知症の問題も、多くの人には心配事ではなかった。

また、高齢化に加えて、高度成長期に核家族化が一気に進んだことで子供世代の負担が高まり、介護離職の問題が顕在化してきた。

さらに問題は、生産年齢人口(15~64歳)が95年の8700万人でピークアウトし、その後減り続け、2030年には6700万人、50年には5000万人へと急速に減少する見通しであることだ。

減り続ける生産年齢人口、そこに追い打ちをかけるように40~50代の働き盛りの世代の介護離職が増えてくることを想定すれば、安倍首相が介護離職ゼロを訴えた真の理由がおわかりいただけるだろう。

実際に親の介護は突然やってくる。当社の「オヤノコト・マカジン」の読者は40~50代が過半数だが、離れて暮らす親が要介護になり、何ひとつ準備していなかったために会社を辞めることになっただけでなく、離婚の危機に陥っている人も少なくない。

「介護離職」は決してひとごとではない。「ウチの親は、まだ元気だから大丈夫」という油断こそが最大のリスクだ。そのことを踏まえて、これから具体的なケースや対策について皆さんと考えていきたい。