SNSで転職支援 ベンチャーが新潮流

中途SNSで転職支援 ベンチャーが新潮流

転職支援サイトに新しい潮流が起きている。主役はインターネットのSNS(交流サイト)などを利用して採用支援サービスを提供するベンチャー企業(VB)だ。企業は幅広い情報発信力を活用したり、チャット(対話)で欲しい人材を直接口説いたりできる。潜在的な転職希望者にも接触できるとして、人材不足に悩むVBや地方企業で利用が広がっている。

大手証券の元営業マン、伊藤達彰氏(29)は2014年末、何気なく見ていたSNS「ウォンテッドリー」である地方企業が目に留まった。「衣の流通に革命を起こしませんか」。熊本市の縫製サービス会社シタテルだ。知らない会社だったが、「話を聞きたい」ボタンを押した。

するとシタテルの河野秀和社長からチャットを通じて「15年1月に都内で会いませんか」と返事があった。2月に熊本の本社を訪問。「ゼロから事業を立ち上げる魅力」を感じて入社を決めた。入社後は営業や生産管理などを担当する。給料は前職より下がったが「やりがいは大きい」。河野社長は「地域を超えて本当に事業に関わりたい人が集まる」と語る。

仕事のやりがいを求める若者と企業を結ぶこのようなSNSは「ビジネスSNS」と呼ばれ、LINEのような一般のSNSとは区別される。

ウォンテッドリーでは給料などの記載は禁止され、事業への思いや働く人などを写真とともに発信する。社員らもSNSで情報を広めるため、転職サイトに登録していない人の目にも留まる。

情報掲載料は月額3万円からと中小企業も利用しやすく1万7500社が活用する。運営するウォンテッドリー(東京・港)の仲暁子社長は「ビジョンや価値観を訴えるため転職市場でVBでも大企業と互角に勝負できる」と話す。電機メーカーなどから10人超の技術者を採用したソフト会社もある。

人材紹介サービスのアマテラス(東京・目黒、藤岡清高社長)はVBの幹部人材に特化した転職サイト「アマテラスオンライン」を運営する。人工知能(AI)や医療関連などの170社が登録する。幹部への転職志望者は経営陣や株主情報も閲覧できる。

最大の特徴はSNS機能を使い社長と直接コンタクトが取れること。元外資系銀行員の男性(32)はアマテラス経由で自動運転技術を開発するロボットVBのZMP(東京・文京)に出合った。谷口恒社長に「将来は起業したい」と打ち明けたら、「新規事業立ち上げを任せる」と返答をもらい、入社が決まった。

採用1件あたりの費用は100万円。ヘッドハンターを介する一般の紹介料(転職者の年収の30%程度)より割安だ。

新卒支援でも新たな動きがある。サポーターズ(東京・渋谷、楓博光社長)は地方学生の都市部のVBへの就活を支援するサイトを運営する。企業は学生のプロフィルを見て、興味のある学生に「サポート」を表明し、学生が応えた場合、サポーターズが交通費として3千円(地方から関東の場合)を補助する。地方大学の学生の就職活動にかかる経済的な負担の軽減が狙いだ。

名古屋や大阪のVBにも利用が広がり、17年卒の採用数は200人弱と前年の5割増のペース。費用は採用人数に関係なく120万円から。最初から見込みある学生に接触できるため面接などの負担を軽減できる。