新卒就職売手市場で急増するインターン
景気の回復で新卒の採用がいわゆる売手市場になるとみられるなか、企業が少しでも早く学生に接触して今後の採用につなげようと、学生に就業体験をしてもらうインターンシップを実施するケースが急増しています。
8日、東京で開かれた大学3年生を対象にしたインターシップの合同説明会にはおよそ60社が参加しました。
参加した企業はそれぞれブースを設け、学生たちを呼び込んで、会社の業務やインターンシップの内容について説明していました。
3年生の男子学生は「企業の側も、インターンシップに参加するような積極的な学生を採用したいと考えていると思うので、夏休みに実績をつくりたい」と話していました。
説明会を主催した就職情報会社によりますと、この会社を通じて、ことしの夏のインターンシップに学生を募集する企業はこれまでに1400社に上り、2年前の2倍以上に急増しているということです。
その大きな理由は、今の3年生から採用活動の時期が変更されたことにあります。
政府の要請もあり、大手企業などはこれまで3年生の12月から行っていた新卒の採用活動を、3か月遅らせて3月からにすることになっています。
採用活動の期間が短くなるうえ、景気の回復で新卒の採用が売手市場になるとみられるため、企業の中ではインターンシップを通じて少しでも早く学生に接触し、今後の採用につなげようとする動きが広がっているということです。
インターンシップが採用の場に
インターンシップは就職活動を前にした学生が仕事について具体的にイメージできるよう、企業の中で一定期間、働いてもらうものです。
中には授業の一環として大学と企業が提携して行うケースもあり、学生が興味のある業界や企業について知る機会になっています。
企業の間で広がるインターンシップについて、文部科学省などはあくまで教育の一環だとして採用活動の場にはすべきでないという考えを示しています。
しかし、新卒の採用競争が激しくなるなか、事実上の採用活動と位置付ける企業も出てきています。東京・品川区にあるシステム開発会社では、この夏、インターンシップを実施し、60人の学生を受け入れることを決めました。
この会社は大手企業との競合で、ことし内定を出していた学生などからの辞退が相次ぎ、予定していた採用数を確保できていません。今の3年生には採用活動が本格化する前に接触し、優秀な学生はそのまま採用したいと考えています。この会社の社長は「建前上、インターンシップという名前になっただけで、少しでも早く学生の情報を手に入れて、採用につなげたいと考える企業が多いと思う。逆に採用活動が早まっている印象で、早くいい学生と出会って獲得してしまいたい」と話していました。
「採用とは切り離しを」
大学生の就職事情に詳しい東洋大学の小島貴子准教授は「企業がインターンシップをもとに水面下で優秀な学生を囲い込み、ふたを開けてみたら4月には内定が出ているということになるのではないか。就職活動を控えた学生が混乱することにもなりかねないので、インターンシップを採用とは切り離すようきちんと定義づけるべきだ」と指摘しています。