新卒複数内定取っても「本命」決められない就活生 短期集中で活動した結果、返って募る不安…
2017年卒生の面接選考が解禁となり、はや2カ月。7月1日時点の大学生の就職内定率(確報値)は71.1%(対前月+19.8ポイント)、就職活動実施率(確報値)は47.0%(同-34.7ポイント)と、全体で見れば、2017年卒生の就職活動は収束に向かいつつある状況です。
企業の採用予定数が前年の採用実績数比で2ケタ増となる“さらなる売り手市場化”に加え、2年連続で採用スケジュールが変更された2017年卒生の就職戦線は、ここまでどのように進んできたのでしょうか――。
採用広報解禁から一気にスタートダッシュ
2017年卒戦線の特徴の1つは、3月の採用広報解禁直後から、企業の採用活動が本格化する“スタートダッシュ傾向”がより鮮明になったことです。
企業の採用活動開始のピーク月を見ると、プレエントリー受付、説明会開催、エントリーシート提出、適性検査実施が3月、面接は4月です。採用広報解禁と同時に、かなりスピーディに企業が採用活動の各工程を進めていったことがわかります。
そして2つ目の特徴は、企業の内定出しが再び集中傾向を見せたということです。大学生の就職活動スケジュールは、2000年代初頭から約15年間は「4月選考解禁」が定着していました。つまり内定出しは「4月集中型」でした。
それが、就職協定以来約30年ぶりに政府が関与する形で2016年卒から大幅に繰り下げられました。このような「就職・採用活動時期に関するガイドライン」は法律ではなく、また罰則規定もありません。実際に主体者として活動する学生にも企業にもそれぞれ選択の自由があり、ガイドラインで示されている“あるべき姿”を認識しつつも、最終的には自己の責任に基づいて判断・行動することとなりました。
2016年卒においては、面接選考解禁は8月とされていたわけですが、実際の企業の内々定出しは4~8月の5カ月間に分散されました。その結果、大学生の内定率も、どこかの月に偏ることなく、4月1日~9月1日にかけて、毎月コンスタントに伸びていきました。
ところが2017年卒では、面接選考解禁を6月に前倒すというガイドラインのマイナーチェンジが施され、5月1日~6月前半の6週間で内定率が25.0%から65.8%へと一気に40ポイントも伸びたのです。かつての「4月の1カ月」よりは緩やかではあるものの、それ以来の集中型に回帰したと言えます。
では、なぜこのような集中型の回帰が見られたのでしょうか。2017年卒の内定出しが集中した5月1日~6月中旬を、2つのフェーズに分けて見てみましょう。
1つは6月1日からの2週間。ここは面接選考解禁直後ですから、この間に積み上がった内定の多くは、この解禁日を待って選考を本格化させた企業が、その後の工程を迅速に進め、内定出しに至ったことによるものと思われます。
もう1つは5月の1カ月間。ここで内定を出した企業は、「選考解禁直前」を狙った企業も含まれますが、多くは、採用広報解禁の3月から順を追って学生とコミュニケーションを重ねる中で、5月に入って内定出しまでたどり着いたケースです。
企業は「選考辞退の悪夢」を避けたかった
2016年卒では広報解禁がちょうど大学生の春休みに当たることから、解禁直後から説明会を始める企業が少なくありませんでした。
ところが面接選考を8月やその直前に設定していた企業の場合、説明会から面接選考までの期間がそれなりにあるため、採用活動プロセスの各工程の間に、少しエアポケットのような時間が生じてしまったのです。そしてそのエアポケットの間に学生がいなくなってしまうという「選考辞退」も多く発生しました。
そんな苦い経験を持つ企業の多くは、2017年卒においては迅速に次の工程を案内する、工程と工程の間にエアポケットが生じそうになれば、メールや電話で個別連絡を入れて学生の状況や不安、疑問がないかを聞くなどのフォローをする、仕事紹介動画などを配信し自社のことを忘れないでいてもらう――などの地道な工夫をしました。
このように、採用活動の各プロセス間での水漏れを防ぐことで、いい人材をしっかり獲得しようとする企業側に引っ張られる形で、学生の就職活動もトントン拍子に進んでいったのです。
ところで、当の学生達はスピーディに進んだ就職活動に満足しているのでしょうか。例年、採用選考解禁から少し経つと、大学のキャリアセンターや就職カウンセラーに駆け込んでくる学生が増えてきます。従来から多いのは「持ち駒がすべてなくなりました。どうすればよいか?」という相談。これは今年もやはり目立つようです。
また求人倍率が高くなると、「複数の企業から内定をもらった。本命以外の企業にどう断ればよいか?」と助言を求める学生も一定数発生します。
自分で本命企業を決められない
ところが今年は少し違ったタイプの相談が寄せられているようです。それは「このままいくと複数社から内定をもらうことになりそうだが、その中から本命の1社をどうやって決めたらよいのかわからない」といった類いのものです。
過去、少なくとも2015年卒生までは、最初にある程度幅広く企業をリストアップし、そこから就職活動のプロセスを進める中で吟味を重ねて徐々に絞り込み、最終的に残った会社からの内定を獲得して活動を終了する、というのが標準的な就活でした。
しかし、2017年卒の場合は、吟味する時間も十分にとれないままに内定獲得直前まで突っ走ってしまった学生も一定数いたということでしょう。このように「まっしぐら型」で進めてきた学生は、自らの就職活動への不全感を払拭できず、不安を抱えているかもしれません。また、企業にとっても内定辞退のリスクが存在する状態にあるわけで、双方にとって望ましいことではありません。
就職先選びは、学生の皆さんにとって極めて大きな決断の1つであることは間違いないでしょう。特に今年のような圧縮スケジュール下の就職活動では、情報収集などが不足していた可能性もあります。そしてこの「内定先のことを実はよく知らない」ことは、不安の主因になり得ます。その場合、解決策はシンプルです。足りない情報を取りに行けばよいのです。
もしも、「脇目も振らず就活をしてきて、終わってホッとはしたけれど、肝心の就職先は本当にこれで良かったのだろうか?」という不安があるならば、まずは家族、友人、大学のキャリアセンターなどの第三者に相談してみてください。自分の置かれている状況を客観視するためのなんらかのヒントが得られるはずです。
未知の未来に不安があるのは当たり前。幸い企業の採用意欲は引き続き堅調ですから、一度気持ちをクールダウンさせ、何が不安の要因なのかを特定し、解決のアクションに繋げていってほしいと思います。