女性雇用転居後も銀行員、女性の経験活用 地銀人材バンク好評
地銀で働く人が結婚や配偶者の転勤などで転居する際、地元の銀行で働けるよう紹介してもらう「地銀人材バンク」が好評だ。始まって1年余りが経過し、関係者の予想を上回る50人以上の女性が転職。「転居先でも経験を生かし、働き続けたい」と考える女性のニーズに合った形で、受け入れ側も即戦力と歓迎する。他の業界からも、同様の仕組みができないかなどと問い合わせが寄せられているという。
浜松市中区の清水銀行葵町支店。窓口業務を担当する深田雲母(きらら)さん(26)はことし1月、常陽銀行(茨城県)から転職してきた。利用したのが地銀人材バンクだ。
深田さんは昨年10月、浜松市内の企業で働く男性と結婚。常陽銀で退職手続きをした際に人事部から人材バンクを紹介された。「正規職員で銀行で勤め続けるのは無理だと思っていた。同じ業界で経験を生かせる制度がありがたい」と深田さんは笑顔を見せる。
清水銀はほかにも、結婚に伴う県外転居で退職した元行員をこれまでに3人、人材バンクを活用して別の地銀に送り出している。望月昭宏専務は「別の地銀でも即戦力となり得る人材を応援できる制度は、積極的に利用すべき」と話す。

静岡銀行は8月1日付で東海地区の地銀から人材バンクを通じて転職を望んだ女性(24)を採用する。営業店に配属し、転職前に約2年半担当した資産運用分野で、知識や技能を発揮してもらう。
人材バンクは全国地方銀行協会に加盟する64行が参加。事務局の千葉銀によると、これまでも一部地銀同士で転職希望者を紹介することがあったが、同行の声掛けで全国規模の紹介システムをつくった。夫の転勤などで退職することが多かった女性の経験や能力の活用が主な狙いだ。
昨年4月の制度開始から今年5月末までに転職したケースは55件、紹介中も21件。「思っていたより利用が多い」と千葉銀の担当者も驚く。利用は20代半ばから30代前半が多いという。
地銀協加盟行の本店は愛知を除く46都道府県にあり、全国規模の転勤に対応しやすい。こうした取り組みに対し他業界でも関心が高く、千葉銀に問い合わせが相次いでいる。ただ、各地にバランス良く同じ業種の企業があるといった条件が整わず、同様の制度は実現していない。
第一生命経済研究所の的場康子上席主任研究員は「働く人と銀行双方にメリットがある制度だ。今後は家族の介護に直面する人も増えるので、男女を問わず有効だろう。これまでのスキルを生かせるので、他の業界でも同様の仕組みが求められる」と指摘した。