中小、子育て配慮や働きやすさで人材獲得 採用へ「ホワイト企業」PR

新卒中小、子育て配慮や働きやすさで人材獲得 採用へ「ホワイト企業」PR

中小企業が採用活動で、休暇が取りやすい、子育て中の社員に優しいなど「ホワイト企業」をアピールする動きが広がっている。賃金の水準や事業の多様さなどで大手をしのぐのが難しい中で「働きやすさ」を訴え、優秀な人材を獲得していきたいとの考えだ。

小回りが利き、トップの判断で職場環境を思い切って変えることも可能な中小の利点を生かせる面もある。社員の定着率ややる気を高める効果もあり業績拡大につながる例も出始めた。

従業員数30人で玩具卸売業を営むマイルストン(横浜市)は午前7時半~午後3時半の早朝シフトを導入。上野陽一取締役は「夕方の習い事や週末の海外旅行に便利だと好評」と話す。

他にも有給休暇の100%取得や時短勤務者の採用を進め、出産を機に退職した女性技術者や、休暇取得を当然の権利と考える外国人の新卒者を集めた。

いずれも、大手と同じ勤務条件で募集しても、優秀な人は来てくれないとの危機感からだ。いい人材を得たことで提案型の「攻めの営業」の力が強まり、ここ数年の売上高は毎年15~20%増えているという。

印刷業のインターリンク(東京)は2012年に2代目の竹長剛社長が就任し、働きやすい職場作りを始めた。残業のある社員に正午出社を認め、出産・育児との両立も積極的に勧めた結果、12年までゼロだった育児休業取得者が一挙に3人も出た。

来春卒業予定者の新卒採用では、数人の枠に大学生ら約4000人が集中した。11年に25人だった社員数は40人を超え、売上高も12年の6億円超から16年は11億円に伸びた。採用担当者は「トップ交代で働き方が大きく変わった」と話す。

だが1000人単位で学生を採用するなど、業績を回復した大手企業が採用を拡大したため、中小の採用は厳しくなる一方だ。

日本政策金融公庫によると、経営課題に「求人難」を挙げる中小は16年1~3月期、全体の26.3%に上り、1990年代前半のバブル期以来の高いレベルとなった。同公庫の海上泰生主席研究員は「顧客の需要は高まっているのに、中小は規模拡大のための人材が足りず成長の機会を逃している」と分析する。

それでも、リクルートキャリア・就職みらい研究所の岡崎仁美所長は「学生は男女ともに、子育てや趣味と仕事を両立させたいとの考えが強まっている」と指摘。中小でも働きやすさで特色を出せば、採用を優位に進められるとみている。