総合虎の子データ開放でイケてる東大生にアピール、レッティの人材策
自社の競争力の源泉であるデータを、アルバイトの大学生に自由に使わせる。開発したサービスの出来が良ければ採用する――。グルメ情報サービスを運営するRetty(レッティ)は、こんなインターン制度を実施している。
インターンに開放するのは全80万店の飲食店に関する、数百万件に上るクチコミデータだ。グルメ情報サイトにとって虎の子とも言えるデータを開放する目的は、優秀な大学生エンジニアとの関係強化。学生時代から同社への興味を持ってもらい、将来の就職先として選択肢に加えてもらうのが目的だ。
東京・本郷。東京大学にほど近いビルのフロアで、レッティの樽石将人CTO(最高技術責任者)が、東大生とノートPCを挟んで向き合っていた。
ここはレッティが運営するインターン学生向けのサテライト・オフィス「Retty Technology Campus Tokyo(テックキャンパス)」だ。インターンの大学生が、学業と両立させながら同社の業務に携われることを目的に、2015年11月に開設した。
「レッティの社員と変わらない仕事をしてもらう。学生の研究内容を、レッティの実データを使って実証できる」。樽石CTOは、同施設の特徴をこう説明する。この言葉通り、同施設ではレッティのグルメ情報サービスのデータが「使い放題」になっている。
開放するデータは80万店の飲食店のメニュー、利用者が実名で投稿したクチコミや写真など。クチコミと写真は、それぞれ数百万点に上る。クラウド上で運営するレッティのデータベースを、同施設の学生向けに開放した。
レッティのサービスに採用も
現在、テックキャンパスを利用する大学生は10人ほど。約半数が東大生だ。
「ちゃんとした機能やシステムを開発すれば、それが実際にサービスで使ってもらえる。大学は実験をして終わりなので、とても達成感がある」。同施設を利用する東京大学の4年生、小口航平さんはこう手ごたえを語る。小口さんは大学では情報関連の学部を専攻。レッティでアルバイトも経験している。
小口さんが同施設で取り組んでいるのが、レッティのデータを使ったサーバー側の処理を高速化する仕組みの開発だ。ほかにもレッティのサービス利用者の行動分析システムの開発やサービスの使い勝手の改善など、本職のITエンジニア顔負けの活躍ぶりだ。
「最近の学生のスキルは本職のITエンジニアに引けを取らない」。樽石CTOはこう期待を込める。実際、同社のサービスには、大学生エンジニアが開発したものが少なくない。米アップルのスマートウォッチである「Apple Watch」向けに同社グルメ情報サービスを移植する作業は、学生エンジニアが一人でこなした。
エンジニアリング文化を醸成へ
自社データの新しい活用法を探るのは、レッティ自身の事情もある。
「技術を使ってサービスを成長させる」。同社の武田和也CEO(最高経営責任者)が強調するのは、技術を根幹に事業の成長や他社との差異化を目指す「エンジニアリング路線」である。
具体的な取り組みの一例が、利用者の満足度の高い飲食店を効率的に探せるようにするためのアルゴリズムの開発だ。よく訪れる飲食店の分野や所在地域、料金帯などを利用者ごとに分析。傾向の似ている利用者を区分けして、飲食店のマッチング精度を高める。
1900万人超の月間利用者数が生み出す年間500億件のデータを基に、「人間が言語化できない潜在的なニーズを見つけ出し、利用者が“いいお店”に出会うための時間を短縮する」(武田CEO)。
エンジニアリング路線を敷くレッティにとって、優れたIT人材の確保は最重要事項の一つだ。その前線基地とも言うべきテックキャンパス、今後はほかの大学近辺にも開設する予定という。優秀なIT人材を狙い撃ちする動きは、さらに激しさを増しそうだ。

