長時間労働が常態化している企業の見つけ方 就活生のための労働法講座

新卒長時間労働が常態化している企業の見つけ方 就活生のための労働法講座

日本経済団体連合会(経団連)の指針では面接開始が6月1日ですが、経団連非加盟の企業が既に面接を行って内定を出しているのは周知の事実です。また、経団連に加盟していても水面下で採用活動を進めている企業は少なくありません。

企業の採用意欲が強いことから、多くの学生が複数の内定を持っています。リクルートキャリアの調査では5月1日時点の就職内定率は24.6%でした。4人に1人が内定を持っている一方で、書類選考や筆記試験で足切りされて面接にすらたどり着けない学生もいます。

こうした学生は「今年は売り手市場」といったニュースを見るたびに落ち込んでいるのではないでしょうか。現時点で就活がうまくいっていない学生には、大学のキャリアセンターや就職課の求人票を見ることをお勧めします。

企業は採用する大学を決めている

企業が大学に求人票を送るのは、その大学の学生を採用したいからです。就職サイトを見ると、企業はすべての学生に門戸を開いているように感じるかもしれません。しかし、企業は採用ターゲットになる大学を定めています。ターゲットにされていない大学の学生が内定を取るのは容易ではありません。

ネットやスマホの就職サイトが充実しているので、求人票を見ていない学生も多いかもしれませんが、一度ご覧になることをお勧めします。思わぬ出会いがあるかもしれません。

求人票には様々な勤務条件が記載されています。賃金、賞与、職種、雇用形態、雇用期間、就業場所、就業時間、時間外・休日労働の有無、雇用保険・社会保険の有無等、ひと通りはチェックが必要です。事業主には募集・採用に際して、労働条件を明示する義務があります。

職業安定法5条の3では募集に際して、「労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。なお、少なくとも下記の事項については書面の交付等により行わなければならないとされています。

1.労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
2.労働契約の期間に関する事項
3.就業の場所に関する事項
4.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
5.賃金の額に関する事項
6.健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事項

募集時と契約時に勤務条件をダブルチェック

ただし、求人票の条件は実績や見込みの場合も多く、必ずしも実際の契約条件とは限りません。企業説明会や面接での条件が求人票と若干異なる場合も有り得ます。あくまでも労働契約が最終的な勤務条件になりますので、いわゆる求人詐欺等には注意が必要です。

労働基準法15条では「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と規定していますので、募集時と契約時にダブルチェックすることをお勧めします。

東京高裁昭和58年12月19日判決(八州測量事件)では、「賃金確定額が求人票の見込額より低かった場合でも、労働者に見込額どおりの請求権が生じるわけではない」と判示しています。

一方、「求人票記載の見込額を著しく下回る額で賃金を確定すべきでないことは、信義則からみて明らかであるといわなければならない」ともされており、あまりにも差がある場合は許されないといえるでしょう。

昨年成立した「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)」7条に基づき発表された厚生労働大臣指針では、「明示する労働条件等は、虚偽又は誇大な内容としないこと」と定められています。

労働基準法では労働時間の上限(法定労働時間)を原則1日8時間、1週40時間と定めています。ただし、現実は労使協定を締結することによって時間外労働(残業)が認められています。時間外労働には割増賃金を支給する必要がありますが、何時間残業するかはわかりませんので、事後に計算して精算されるのが通常です。

固定残業代には要注意

ところが、求人票に「○○時間分の××手当を含む」等の、いわゆる固定残業代が記載されている場合があります。手当の名称は企業によって違います。この固定残業代も適法要件は厳しくなる傾向があるものの、必ずしも違法とはいえません。

企業が勤務条件をよく見せるために意図的にわかりづらくしている場合もあるため注意が必要です。また、多額の固定残業代が含まれているということは、その企業の長時間労働が常態化していることも疑われます。

前述の若者雇用促進法に基づく指針では、固定残業代の仕組みを採用している場合には「名称のいかんにかかわらず、固定残業代に係る計算方法(固定残業時間及び金額を明らかにするものに限る)、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと等を明示すること」を求めています。

では、最後に腕試し。下記の○×問題にチャレンジしてみましょう。

【質問】
1.たとえ募集時に明示した労働条件と同じでも、使用者は労働契約に際して労働条件を明示しなければならない
2.残業代をきっちり払えば時間外労働させることは問題ない
【答】
1は○、2は×です。時間外労働をさせるためには労使協定の締結・届出、就業労働条件規則への記載等が必要になります。