企業の採用担当者へ 会社の素顔、学生に見せて 海老原嗣生

新卒企業の採用担当者へ 会社の素顔、学生に見せて 海老原嗣生

今回は、採用企業側の人に向けて話をしたい。

私がコーディネーターを務めた就職セミナーで、登壇したある大手企業の採用責任者が、こんな話をした時のことだ。

「最近の学生は、物まねというのか、横並びというのか、みんな同じ話しかしない。個性が感じられない」

前回のこのコラムでも書いたが、私はこういう「最近の若者」論は大嫌いだ。

そんな私の気持ちを代弁するかのように、最前列に座った勇気ある学生が手を挙げた。私が構成台本を無視して、その学生を指すと、彼はこうたんかを切ったのだ。

「同じ話をするって、当たり前じゃないですか。だって、どの企業を受けても、みな同じ質問をするんですから。企業の側こそ、個性が感じられない」

私は内心、拍手喝采の思いだった。会場はしばらくどよめいたが、やがて正常な進行に戻り、登壇する企業の「わが社が欲しい人物像」を語る場面へと移る。件(くだん)の大手企業の採用責任者は、こんな風に語った。

「まず、一に自律していること。二に好奇心があること。三にオリジナリティーがあること」

これこそ、先ほどの学生が指摘した「企業はみんな、同じことを言う」典型だ。

私が採用担当者に言いたいのは、一つ目は前回の話と同じことだ。学生に何か言う前に、まず自分自身がそれをできているか、振り返るべきだろう。

そして、もう一つ言いたいこと。それは、企業こそ、もっと裸を見せてくれ、だ。

この連載を通して、学生には裸を見せろ、と言ってきた。嘘偽りで塗り固めて就職すれば、入社してから困ったことになる。だから素の自分を見せて「そんなあなたが欲しい」と思ってくれる企業に入れ、と。

まったく同じことは企業にも言える。企業広告も説明会で話すことも、ほとんどが、他企業と似たような話と、あとはずいぶんとお化粧した、格好いい話ばかりだ。

そんなよそ行きの姿しか見せないから、若者たちは入社後に「だまされた!」と頭を抱えることになる。

学生に「飾らずに、あなたらしさを教えてほしい」と望むのであれば、同じくらい企業側も「個性」や「らしさ」を見せてほしい。それも、多少格好悪いことや不都合なことまで含めて。

そんな企業が好きで入社したい、という学生を選べば、それこそ、間違いない採用となるはずだ。