中途【35歳からの転職ウラ事情】(20)自分の中の資産を洗い出す
35歳を超えて初めて転職活動をするという方から、何から手を付けていいかわからない、という相談を受けることがあります。そんな方々もほとんどの場合「自分がこれまでやってきたこと」「今の自分にできること」は整理されています。
ただ、そうやって仕事探しを始めた場合に起こりやすい問題が一つあります。「やってきたこと&できること」起点で考え始めた場合、いつのまにかそれだけが「やりたいこと」に変質し、さらに時間がたつと「それ以外にできない仕事」に固定化してしまう現象です。
転職サイトなどの検索項目によくある「職種別検索」が、“仕事は職種から選ぶもの”と誘導しているのも大きな理由ですが、転職に慣れていないと、この職種別検索が「経験のある職種別検索」に見えてしまう固定観念バイアスが発生するようです。
職種の種類は、大ざっぱにわけても350種類以上あります。それらをすべて知ることは不可能ですが、だからといって「やってきたこと」しか「できない」というのは早計です。年齢を重ねれば重ねるほど、一つの仕事の経験期間が長くなるほど、この傾向は顕著になります。積み上げてきたものを失う“もったいない意識(サンクコスト)”がさらにそれを加速させるからだと思います。
ただ、間違いなく言えることは「これからの自分にできること」は、決して「これまでの自分がやっていたこと」だけではないということ。転職相談をしていると、自らの固定観念で、自らの可能性に蓋をしてしまうことのほうがもったいないと感じることが本当に多くあります。
では、その可能性ロスをどうすれば払拭できるのか? 一つの方法は、自分がやってきたことで得た資産を分解して広げてみることです。たとえば、「人的ネットワーク」や「困難な課題の解決の仕方」や「チームでうまく仕事を進めていくノウハウ」など、職種という便宜的な仕事の名前分類ではなく、自らの中に財産としてたまっているものを抽出し、その財産が生かせそうかどうか、という軸で仕事を探す方法です。抽象度は上がるのですが、実際にやってみると少し選択肢は広がるはずです。一例として、機械設計に詳しい方なら、機械設計のスキル以外に、機械設計技術者の気持ちにも詳しい、というような考え方です。その財産を発見できると、機械設計しかできないと思っていた方に、機械設計技術者専門の転職アドバイザーという選択肢が加わる可能性があります。いつか転職を考えることがあれば、こんな見方もあるということをぜひ覚えておいていただければ幸いです。