総合最新版!「有給休暇取得率」トップ300社 ホンダが5年連続1位、政府目標達成は13%
いよいよ春到来。「有給休暇でも取って平日にのんびり旅行にでも行きたい」と考える人もいるだろう。一方で「なかなか休みが取れない」と嘆く声も少なくない。
日本企業全体の有給休暇取得率は47%台
厚生労働省「平成27年就労条件総合調査」によると、日本の民間企業の平成27年(2014年)の有給休暇取得率は47.6%と50%を下回る状態が続いている。思うように有休を取れる人ばかりではないのが現状だ。
ただ、そうした中でも取得率の高い会社はある。今回は毎年恒例の有給休暇取得率ランキングを作成。有給休暇取得の先進企業をその取り組み内容とあわせてご紹介する。
対象は『CSR企業総覧』2016年版(東洋経済新報社)掲載で3年分の有給休暇取得率を開示している898社。このデータは大卒だけでなく全社員が対象となっているため、大学生の就職活動での利用の際は注意していただきたい。
ランキング1位は5年連続でホンダ。取得率は3年平均で99.6%と他社を圧倒している。2012年度99.4%→2013年度99.0%→2014年度100.3%とほぼ完全取得状態だ。ホンダは年末に有休残が必ず20日以下になるよう全社で計画的な取得を進める。こうした取り組みが高い取得率につながっている。
2位はアイシン精機の98.2%。2012年度100.5%→2013年度96.3%→2014年度97.7%とホンダほどではないが毎年ほぼ100%の高い取得率を誇る。失効する年次有給休暇を最大20日まで積み立て、本人の私傷病、配偶者・父母子の看護に使用可能。他に月4回まで使える「半日単位の有休制度」なども取得増加に貢献している。
3位はホンダ系の四輪シート部品メーカーのテイ・エス テックで97.0%。2012年度95.2%→2013年度96.0%→2014年度99.8%と取得率は年々上がってきている。テイ・エス テックは2012年4月に半日単位の有給休暇制度を導入。子育て中の社員は短時間勤務中の半日単位の取得が可能など自由度も高い。制度導入前の2011年度は81.9%だった取得率が100%近くまで上昇。効果が出ていることが伺える。
4位もホンダ系部品メーカーのケーヒンで96.8%。2012年度96.8%→2013年度95.4%→2014年度98.1%と高い水準を維持している。
5位はトヨタ自動車による完全子会社化が発表されたダイハツ工業で95.9%→2012年度96.4%→2013年度94.4%→2014年度97.0%。上限なしの半日単位取得や、失効した有給休暇を最大60日まで積み立てて本人の私傷病療養・家族介護に利用できるなどの制度がうまく機能している。

以下、6位関西電力(95.3%)、7位ダイキン工業(94.0%)、8位トヨタ自動車(93.2%)、9位日本電信電話(92.0%)、10位豊田自動織機(91.8%)と続く。
上位10位以内はホンダグループ3社、トヨタグループは4社と圧倒。3年連続で自動車関連が上位5社を独占した。
14位にIT企業でトップのSCSK(90.5%)が入った。同社は「働きやすい、やりがいのある会社」を目指し、ワーク・ライフ・バランスを推進。有給休暇(20日)取得100%、残業平均時間前年比20%減を達成した部署にインセンティブを支給する制度などで高い成果を上げている。
NTT都市開発がかつての30%→87%へ躍進
28位には不動産業で唯一100位内のNTT都市開発(87.2%)。『CSR企業総覧』2009年版によると、2007年度の有給休暇取得率は30.3%と低い数字だったが、大幅にアップしている。
休みがきちんと取れる働きやすい職場として従業員からも評価されているのだろう。新卒3年後定着率も非常に高い。2011年100%(2008年入社16名)→2012年95%(2009年入社20名、1名退社)→2013年92.3%(2010年13名入社、1名退社)→2014年100%(2011年12名入社)、2015年100%(2012年9名入社)という素晴らしい数字だ。
この5年間に入社した70名のうち3年以内の退職者はわずか2名。若手が職場に満足している証と言えそうだ。直近で従業員数407人と大手ではないが、このランキングでは上位常連として高い存在感を示している。
34位には小売業の三越伊勢丹ホールディングスが84.7%でランクイン。失効する有給休暇を積み立て、ボランティア参加、介護、育児や子どもの学校行事等の休暇として60日間取得可能な「ストック有休制度」など、取得促進のための制度が充実している。
傘下の「三越伊勢丹」は百貨店の営業時間短縮も進めている。これまで日本では小売業の店舗の営業時間は長くなる傾向にあったが、従業員の働きやすさを考えると短縮という動きも今後増えてくるかもしれない。

取得率90%以上は16位曙ブレーキ工業(90.0%)まで。80%以上は49位のJSR(80.4%)までと高い比率は上位企業の一部にとどまる。政府が2020年に全社の達成目標とする70%以上は122位堺化学工業(70.3%)までで全体では13.6%。有給休暇を十分に取得できている会社は依然少数派だ。
他に注目企業をいくつかご紹介しよう。メガバンクは237位みずほフィナンシャルグループ(62.7%)と291位三井住友フィナンシャルグループ(59.5%)がランクイン。三菱UFJフィナンシャル・グループは347位(57.0%)だった。
保険は住友生命保険の93位(73.6%)が最高。続いて、130位明治安田生命保険(69.4%)、175位第一生命保険(66.0%)、の3社がランクインした。航空2社は46位日本航空(80.8%)が107位で、ANAホールディングス(72.0%)を上回った。
中外製薬は付与日数26.4日と高水準
有給休暇は一般的に1年間に20日付与されるが、実際はそれ以上の会社も多い。たとえば、252位の中外製薬(61.6%)は全社員に有給の「フレックス休日」を通常とは別に4日与え、付与日数は3年とも26.4日と多い。取得日数は2012年度15.2日、2013年度16.2日、2014年度17.3日と上位企業と比べても決して悪くはないが付与日数が多いため取得率は高くない。
しかし、仮に付与日数20日で計算すると81.2%になり45位まで上昇する。逆に社歴の短い若手社員が多い会社では付与日数が少なく取得率を上げていることもある。有休の取得状況を見る際には取得率だけでなく付与日数もあわせて見ておきたい。
また、年末年始や夏季休暇などを特別休暇として別枠とする会社もある。一方でお正月休みなどもすべて有休を使う場合もある。取得率はこうした要因で大きく変わる可能性もあるので注意が必要だ。

続いて業種ごとの取得率の平均値を見ていこう。10社以上の業種で最も高かったのは電気・ガス業の75.1%(11社)。続いて輸送用機器70.6%(47社)、ガラス・土石製品64.2%(11社)、電気機器59.6%(90社)、非鉄金属59.4%(11社)、情報・通信業59.2%(60社)などが高かった。
建設や倉庫・運輸関連の低さが目立つ

逆に最も低いのは建設業の32.8%(51社)。他に倉庫・運輸関連業34.9%(11社)、小売業36.6%(56社)、不動産業37.8%(18社)といった業種が下位となった。
ただし、こうした下位業種も少しずつ改善している。小売業は『CSR企業総覧』2013年版データ(2011年、2010年、2009年の3年平均)の31.2%(43社)から今回の同2016年版データ(2014年、2013年、2012年の3年平均)の36.6%(56社)と3年間で5.4ポイント増加している。
倉庫・運輸関連業も同じく32.6%(10社)→34.9%(11社)の2.3ポイント増、建設業32.1%(41社)→32.8%(51社)の0.7ポイント増、不動産業36.0%(15社)→37.8%(18社)の1.8ポイント増といずれも成長している。もっとも、まだ十分な水準とは言えない。これをさらに伸ばしていくための取り組みが必要だ。
ランキング上位企業は、半日や時間単位での取得、傷病や介護などにも使えるよう使用範囲の拡大、全社的な取得推進の宣言などを行っているケースが目立つ。業種が違っても取り入れることができるものも多い。自社にできる範囲で少しずつ導入することで有給休暇取得率アップにつなげてもらいたい。


