総合変容する人材スカウトの役割。アルゴリズムはリクルーティングをいかに変えるか
アルゴリズムによる自動化の波は、リクルーティング分野にも避けがたく訪れる。だがリクルーター(人材スカウト)はその趨勢を恐れるべきではない――。ビジネスライターのマーク・フェファーは、全米人材マネジメント協会に寄稿した記事で、人事へのアルゴリズム導入に関して、様々な専門家の意見を紹介している。
適切な人材を探し当てるスキルは、もはや不要になる
人事におけるビッグデータの活用について耳にする機会が増えてきた。つまり採用活動におけるアルゴリズムの重要性が、ゆっくりとだが確実に増してきている。識者らは現在起きているのは革命(revolution)ではなく、進化(evolution)だと声を揃えるが、アルゴリズムがツールとして汎用されるにつれて、リクルーターの役割が変化することに疑問の余地はない。
なかでも「ソーサー」、つまりLinkedInなどの求人サイトやデータベースで人材探しを行う専門家には、とりわけ大きな影響があるかもしれない。リクルーティング・ソフトウェア開発会社のギルドのシーロイ・デサイ最高経営責任者(CEO)によれば、高度な検索スキルを用いて人材を探し当てる能力はもはや不要になるという。テクノロジーが適切な人材を発掘してくれるからだ。その代わりに、ソーサーの役割は「それらの人材に実際にコンタクトを取って、会社に呼び込むこと」が中心になるという。
だがデサイによれば、このアルゴリズムを利用した人材ソーシングが顧客にとってある程度実用的になってきたのは、わずか1年半ほど前のことだ。「まだあくまで初期段階に過ぎない」と彼は指摘する。
アルゴリズムの目的は、人材の適性を予測すること
リクルーターやデベロッパーにとって、ソーシャルメディアを始めとする多種多様な媒体を通して得られる大量のデータを、アルゴリズムで分析して利用するというアイデアは、非常に期待が持てるものだ。
アルゴリズムの役割は「過去のリクルーティング活動から得られた膨大なデータを、利用可能な情報に変容させることだ。その目的の1つは、候補者が特定の職務、チーム、企業などに相応しいかどうか予測することだ」
と、大手求人サイトIndeedのグローバル・ソーシング・ディレクターを務めるスティーヴ・レヴィは語る。
アルゴリズムという未知のツールを利用することに及び腰なリクルーターについて、デサイはこう述べる。「実際のところ、大半の人々はすでに様々な局面でアルゴリズムをツールとして利用している。ただその事実をよく認識していないだけだ」
リクルーターの職務がなくなるわけではない
今から10年程前、アルゴリズム・テクノロジーはマーケティングとセールスの分野に不可避的に導入された。それと同じことがリクルーティング分野でも起こる、とデサイは主張。「セールスとマーケティングが自動化されたからと言って、セールスパーソンの重要性が減じたわけではない。彼らは勧誘電話や顧客探しという作業をテクノロジーに任せて、代わりに顧客と関係を築いたり、取引をまとめたりするのに専念できるようになったのだ」
また一方で、「経営幹部らはアルゴリズムを利用することで、以前では利用不可能だったデータを活用することができるようになった。たとえば過去の成功した取引を分析して、今後のトレンドを予測することなどだ」(デサイ)
リクルーターは人材探しに費やしていた時間を、企業や仕事の売り込みに使うことができるようになる、と人材コンサルティング会社アンプリファイ・タレントの創立者兼社長を務めるラールス・シュミットは述べる。
「リクルーターの職務がより効率的になるだけで、仕事がなくなるわけではない」
「人間的能力」の重要性は減らない
そしてテクノロジーが探し当てた人材を、実際の採用プロセスに案内するのは、もちろん人間の仕事だ。「トップの人材は、まさに引く手数多だ」とシュミットは述べる。「その中でどうやって自社を相手に売り込むか? それは実際にコンタクトを取って、対話の機会を持つという人間的能力にほかならない」
人材派遣会社IQワークフォースのコリー・プロヘンズCEOは、「今から10年後には、リクルーターは、一部でアナリストの役割も担うようになる。アナリティクス(分析)・チームと共同作業を行って、様々な分野において適切なパラメーターを見極めていく存在となるだろう」と予測する。
「アルゴリズム自体は複雑なものだが、それは実際には、ソーサーやリクルーターの仕事を簡略化するものだ。候補者に対する無意識バイアスの影響も最小限に抑えることができる」とレヴィは指摘。「人材の雇用や維持にきっとポジティヴな影響をもたらすはずだ」と述べている。