グーグル、マイクロソフトvs.日本の大企業「人材活用力」の格差がすごい

総合グーグル、マイクロソフトvs.日本の大企業「人材活用力」の格差がすごい

「日本国内だけでなくアメリカの多国籍企業など海外の様々な業界と商談をしていると、日本と世界の管理職の収益力格差が確実に広がっていると実感する場面も増えた」と語る、グローバルビジネスコンサルタント・白藤香氏。


日本企業の管理職に共通した3つの「弱点」とは何か。

日本企業の経営は、市場のための経営ではなく、経営者のための都合のよい経営が増えてきている。そのため、日本人管理職のチャレンジの機会が減り、能力開花の機会を妨げ、企業の成長に蓋をしている。そんな環境の中で、どのように個人の能力成長を促していったらよいか。前回(http://president.jp/articles/-/16512)はその「パフォーマンス力」に着目したが、今回は「チャレンジ力」にフォーカスしよう。

■「転職先はない」から、しがみついているだけ

日本人管理職の弱点2▼チャレンジ力

日本企業50点
海外企業90点

[ここがダメ1]人材停滞

日本企業の中にはすでに事業が「停滞」している組織が多数ある。

特に、大企業は人材の流動性が少なく、組織の閉鎖性が健全な営利活動の遂行を妨げ、従業員の精神面にも悪影響を及ぼしている。囲われた鳥のように、日々の問題課題にばかり目がいき、身の回りのことにしか関心がない。

[ここがダメ2]部長が課長レベルの仕事

以上のような状況だからだろうか、下記のような苦言を随所で耳にするようになった。

「今の部長職は、課長レベルの仕事をしている」

本来目をむけなければならない市場の大枠、ビッグなビジネス情報の収集など肝心要なところに神経が全くいっておらず、適切なアクションが取れていない。日本のビジネス企画には、専門性が求められる玄人筋の戦略案が乏しいため、管理職がチャレンジする機会も少なく、能力が磨かれる場が相対的に少ない。

[ここがダメ3]無気力

日本に帰国し、いろいろな場に参加し議論を重ねていると、日本人の管理職からはこんなボヤキをよく聞く。

<<転職先もないから、こうやって頑張るしかないしね>>

その言葉の本音はきっと、「子どもがまだ小さいし、中学受験させる費用も必要。家のローンだってあと、25年以上残ってる。仕事がつまんなくても、我慢我慢」といったところだろう。

<<MBAなんて、意味がないよ>>

これも耳にタコのボヤキだ。いや、強がりだろうか。こちらの本音は「日本で取っても、勤務も給料もそんなにかわらないだろう」といったところだろうか。

日本大手企業の管理職はある時期になると「社内の仕事がおもしろくない、魂を揺さぶるような仕事がない」という極めて贅沢な悩みを抱える。先細りするなら、次の市場に絡んだスタディをし新事業を考案するとか、前向きに収益を上げて進んでいこうとか、ビジネスに前向きな発想が聞こえてこない。

■なぜ、グーグルは採用拠点をボストンに構えるか

他方、世界の大企業の管理職はどうなのか。

彼らは国内だけでなく海外の経済分析に敏感で、世界の業界動向を見ながら戦略の起動修正に追われる。海外企業の戦略案は、

・収益構造の大転換を引き起こす戦略
・世界市場でゆるぎない地位を築くため他を蹴落とす戦略
・市場最強になるための戦略
・収益性は確保されているが、事業そのものを刷新し進化を図る戦略

など、多種多様である。

その戦略遂行には専門的能力が必要とされる高度なケースも多く、既存の管理職は常に能力研鑽と向上を求められ、人員の外部登用も同時に検討される。そのため管理職は常にチャレンジするためのブラッシュアップが要求される。

さらには完璧な戦略遂行を行うための組織チーム作りや運営方法を変えるため、外部から専門家やビジネス遂行のためのプロフェッショナルの雇い入れも盛んである。

例えば、米国の高偏差値の大学が集積するボストンあたりでは、各大学周辺にグーグルやマイクロソフトが採用拠点を構え、次々と打ち出される新事業戦略遂行のために「一番手」となる要員獲得に躍起になっている。海外企業の職場には、年次ごとのチャレンジ、市場での成否、従業員の雇用維持がかかった、身の引き締まる緊張感が漂っている。

日本人の管理職が中堅になると活躍の機会を失い、仕事への意欲が停滞するのは、会社の都合、経営の都合が優先されすぎることが原因である。海外市場での競争が激化する中、日本企業が打ち勝っていくためには、個人の能力育成を前面に押し出した、企業の成長を後押しする「しくみ」と「仕掛け」が必要になってきている。