総合企業で広がる学生の「有償インターンシップ」 実社会で通用する人材を育成
大学生のインターンシップ(就業体験)といえば、無報酬で1、2週間程度が主流。だが最近、有償で1カ月以上にわたって実務を経験する動きが広がっている。学生にとっては、企業を深く知る機会となり、職業観を育むこともでき、受け入れ側にとっても採用活動に結びつくなどのメリットがあるという。(横山由紀子)
会社にどう貢献
京都産業大学では、今年4~7月の約4カ月間、3年生の13人が、長期の有償インターンシップを経験した。
同大法学部の向坂(こうさか)なつみさん(20)は、衣料品チェーン「ユニクロ」西武高槻店(大阪府高槻市)で週3日、1日8時間の仕事についた。商品の陳列やレジ打ちなど、アルバイトが通常こなす業務に加え、販売計画書に沿って客に商品を勧める声掛けや、目を引くレイアウトを考えるなどした。ユニクロを展開するファーストリテイリング(山口市)の東京本部などでも研修を受け、企業戦略や店舗経営を学んだ。
向坂さんはパン店でのアルバイト経験があるが、「アルバイトと違って、自分が会社にどんな貢献ができるかを考えて行動するようになった」と振り返る。就職先としても接客業に興味を持ち「就職活動の選択肢に幅ができた」という。
ファーストリテイリング人事部採用部長の中西一統さんは、「仕事を深く理解することで採用活動に結びつけたい」と期待する。
同大学の長期有償インターンシップは今年度から、同社のほか堀場製作所(京都市南区)など5つの企業に持ちかけて実現した。学生は単位を取得でき、企業からは給与が支払われる。
同大によると、従来の1、2週間程度のインターンシップでは「職場見学」で終わってしまうことが多かったという。今年度から、採用選考開始が従来の4月から8月に繰り下げられるなど、就職活動が短期決戦になったこともあり、より教育効果の高い長期プログラムを組むことで、実社会で通用する人材を育てることが狙いだ。
失敗も経験に
同様の取り組みは他大学でも広がっている。新潟大学では昨年度から、半年間のプログラムを組み、米菓会社「三幸製菓」(新潟市北区)など数社に学生を派遣した。一方、学生が就職で県外に流出する広島市は、地元企業への理解を深めてもらう取り組みを実施している。昨年度から広島大学と広島市立大学の学生12人を対象に、広島銀行など地元企業6社で1カ月間のインターンシップを開始。今年度は対象を8大学、15企業に拡大した。
インターンシップに詳しい京都産業大学経営学部の東田晋三教授は「長期有償での就業体験では、単なる職場見学で終わらず、就職してから直面する壁に、一足早くぶつかることもある。失敗を経験しながら、社会人として通用する基礎的な力を身に付けることができるのではないか」と話している。
【用語解説】インターンシップ
学生が一定期間、企業などで実習したり研修したりしながら就業を体験する制度。欧米では100年以上の歴史があり、有償で長期間行われ、人材育成に成果を上げている。日本では平成9年、当時の文部省(文部科学省)、労働省(厚生労働省)、通商産業省(経済産業省)の3省が「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を発表、推進している。26年に改訂され、大学での単位認定や長期有償型を取り入れることなどが盛り込まれた。