2016年のIT労働市場はこうなる–求職者を待ち受ける10の変化

新卒2016年のIT労働市場はこうなる–求職者を待ち受ける10の変化

あなたが大学卒業を控えているとしたら、筆者は同情してしまう。雇用市場はすでに最も良い就職先、あるいはその次に良い就職先を求める応募者であふれかえっているからだ。「激しい競争」という表現では、この市場の状況を正しく表しているとは言えない。そして2016年には、ソーシャルメディアの衰退と競争の激化からなんとか回復しようという企業のせいで、この状況は悪化の一途をたどるだろう。

だからといって、打つ手がないわけではない。多少の計画を立てておけば、先が見えにくい2016年のIT雇用市場を、できるだけスムーズに乗り切ることができる。その手助けとして、この記事では、筆者が2016年のIT分野を動かす要素になると考える10項目についての予測を紹介する。

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提供:Jack Wallen

1. ネットワークシステム/データ通信アナリストが最も求められる

これは意外なことではないはずだ。ネットワークシステムとデータ分析は、ビジネス構築の基礎になっているからだ。しかし、ストリーミングサービスやモノのインターネット(Internet of Things:IoT)、ビッグデータアナリティクスなどの成長が続くにつれて、ネットワークとデータは企業にとってより一層重要になるだろう。いずれかの分野で高いスキルがある人は貴重な人材となる。

2. モノのインターネットからあらゆるモノのインターネット(Internet of Everything)へ

モノのインターネットが広まり始めた時、笑いや困惑をもって迎えられた。その理由は、それが一体何なのか、誰も分かっていなかったということが大きい。今では、われわれはそれを理解できるようになった。そして、それがテクノロジの面でどれだけ重要かということも分かっている。2016年には、生活のあらゆる面の「スマート化」を約束する画期的なテクノロジがさらにたくさん登場し、モノのインターネットは爆発的に発展するだろう。仕事を手に入れたい人は、そのことを念頭に置いた上で、モノのインターネットを視界に入れておく必要がある。

3. フリーランスの増加

企業は引き続き、コスト削減の手立てを探すだろう。2016年には、開発から設計、データ分析まで、オンサイトに常駐する必要のないIT専門分野全てで、フリーランスの世界が劇的に広がると筆者は考えている。これは多くの求職者にとって何を意味するのだろうか。各種手当はなく、雇用の安定という点でも理想的でなくなるが、自由度ははるかに高くなるということだ。

4. ソーシャルメディア1.0時代の終焉

われわれが現在知るような形のFacebookやTwitterは、終わりを迎えるだろう。実際、Facebookがしばらく前から「ソーシャルメディアからソーシャルの部分をはぎ取ってしまって」いて、企業や芸術家が自分の製品や作品を宣伝しにくくなっていることを、筆者は主張してきた。ITと雇用市場の領域の話としては、それは悪いことではないかもしれない。ソーシャルネットワークが自らを見直そうとするにつれて、人々、あるいは人々と企業を結びつける新たな方法に注目するようになるだろう。2015年の終わりを迎える頃には、自分の優れたアイデアを集めて、「ソーシャルメディア2.0」の時代に向けたアプリやサービスの開発を始めよう。

5. 初代「モバイルオンリー」ユーザーが市場を革新する

ユーザーのある世代全体が、デスクトップやノートPCを使わなくなり、モバイルデバイスのみを使ってやり取りをする(そして仕事までする)ようになるというのは、なんとも驚かされる。これには次のようないくつもの影響がある。1)ウェブサイトのメンテナンスをする場合には、モバイルフレンドリーにする必要がある。2)デスクトップと同じくらい、モバイルデバイスについて理解していなければならない。3)ワイヤレス通信のセキュリティが重要になる。モバイル技術を十分に理解していなければ、2016年には流れに取り残されることになるかもしれない。

6. マルチメディアがテクノロジを後押しする

かつてテクノロジを後押ししていたのは、ゲームだった。2016年には状況が大きく変わり始め、マルチメディアがテクノロジを後押しする主要な要因の1つになってくるのは間違いない。ストリーミングサービスが拡大を続ければ、ネットワークのバックボーンや、セキュリティ、信頼性、冗長性を向上させる必要も高まる。データパイプに支障が生じると、人々はエンターテインメントの主な源を失うことになる(同時に仕事もできなくなる)。こうした状況と、より優れた圧縮ツールやプレーヤー、キュレーションアプリを開発する必要性を合わせて考えれば、この分野がいかにすぐ成長しうるかが分かるだろう。

7. モバイル決済システムによってセキュリティの専門知識の価値が高まる

2015年末には、Chip and PIN方式のクレジットカードが米国での標準となるはずだ。こうした状況に加えて、「Apple Pay」や「Android Pay」がますます普及していくことを考えれば、モバイル決済システムによって、企業がネットワークセキュリティをさらに強化する必要性が大幅に高まる可能性がある。セキュリティを取り締まるまた新たな理由が必要というわけではない。しかし、モバイル決済を受け入れる企業が増えていく中で、そうした企業はセキュリティについての高度な知識を持った人々を探すようになる。2015年の残りの期間、何に力を入れるべきか決めかねているのであれば、この分野の知識が採用への近道となるかもしれない。

8. 政治的なサイバー戦争が劇的に増加する

こういうことを書きたくないのだが、このような動きを示すヒントが、この1年を通じてあちこちで垣間見られた。政治的な要因によるサイバー戦争は、2016年に大幅に増加するだろう。このことの影響は非常に広い範囲に及ぶ。セキュリティ、バックアップ、冗長性など、IT分野におけるさまざまな専門分野の需要が、攻撃への恐れによって高まるだろう。そしてこうした状況は、政府機関にだけのしかかるわけではない。あらゆる規模の企業が万が一の事態に備え、パッチをリアルタイムに適用し、あらゆる対策を講じる必要がある。さもなければ、企業のデータが格好の攻撃対象になりかねない。

9. ビッグデータは「よりビッグなデータ」になり、大規模データベースを専門とするエンジニアの需要が高まる

ビッグデータが今でも十分にビッグだと思うなら、2016年まで待ってみるといい。2016年にはInternet of Everythingが、考えられるほぼ全てのデバイスやサービスへと広がり、「ソーシャルメディア2.0」が登場し、モバイル決済が劇的に増加する。ビッグデータは、特に大規模なデータベースの管理を中心とした、専門的なスキルセットが必要となる。本当に必要とされる仕事、またはとてつもない報酬を得られる可能性のある仕事を見つけたいなら、「ビッグ」よりも「さらにビッグ」な視野で物事を考えよう。

10. 企業が顧客の気を引こうと必死になる中で、採用候補者はまず創造的に物事を考える必要がある

「ソーシャルメディア1.0」時代の崩壊によって、企業は次なる目玉を強く求めるようになる。企業は、新たな顧客(特にミレニアム世代の顧客)を取り込みたければ、創造的に物事を考えるところから始める必要があるだろう。そのために企業は、真新しいアイデアや、より新しく、よりつながりのあるアプリ、そして、創造性というレンズを通して成長や進化を見つめる心づもりのあるスタッフが必要となる。

最後に

2016年も押し迫ってきた。雇用市場に戻るつもりであれば、ここで紹介した2016年の予測について考えてみることを強くお勧めする。気象予報士がケンタッキー州ルイビルの雨を予想する場合と同様に、正確な予測を立てるのは不可能だ。だが、市場の傾向ははっきりしており、あらゆる兆候は変化が起こることを示している。