総合ユニクロ、「週休3日」で楽になるわけではない 原則土日は出勤、ブラックイメージ払拭も?
カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、10月から正社員の一部を対象に「週休3日制」を導入する。対象者は、国内約840店で働く転勤のない「地域正社員」約1万人で、全従業員のおよそ5分の1にあたる。ファーストリテイリング広報は「働き方の多様性に対応するために導入を決定した。増えた休みは自己研鑽などに使ってもらいたい」と話す。
人事部で事前に各店舗へヒアリングした結果では、地域正社員のうち約2割が週休3日制を希望しているという。大学院通学や趣味にあてるなど、それぞれ多様な時間の使い方を想定しているようだ。
ファーストリテイリングは地域正社員制度を2014年6月に導入。パートやアルバイトなども正社員に採用されるとあって、その数は1万人まで増えたが、目標とする1万6000人には届いていない。そこで「今回の週休3日制で魅力が高まり、入社してくれる人が増えればいい」(ファーストリテイリング広報)という狙いもある。

高い離職率の歯止めも狙う
同時に人材の流出を防げるとの算段もある。2009年に入社した新卒社員は、3年以内に5割が退職。その後、人事制度を変更するなどして改善したものの、2012年入社の場合でもすでに3割が退職しており、依然として離職率は高い。毎年大量に辞めていく人を補うための採用コストや、教育コストも負担だ。
ユニクロの国内店舗はここ数年増えていないが、スクラップ&ビルドで店舗の大型化を進めているため、1店舗あたりの売り場面積は拡大している。
それに伴って陳列する商品アイテム数が拡大し、店員が1日に歩く距離も長くなっているようだ。この6~7月は2カ月連続で既存店売上高が3年ぶりに マイナスになるなど、足元では減速感があるものの、これまでは比較的高い成長を続けており、人手不足の店舗では特に店員の負担が大きくなっていた。人材の定着は、ファーストリテイリングにとって重要な課題である。
週休3日制の草分けである、スポーツ用品販売大手のアルペンは26年前の1989年からこの制度を導入している。「新入社員にも週休3日をアピールして採用活動に生かしている」(同社広報)という。
ただ今回の週休3日制が、新卒採用の呼び水になるかどうかは不透明である。働く条件も、ある程度厳しくなるからだ。
土日出勤、1日の勤務時間もプラスに
現在は必ずしも出勤が求められていない土日祝日が原則として出勤日になるほか、通常の週休2日制であれば1日8時間である勤務時間も、10時間へと増える。アルペンの場合は土日祝日勤務を必ずしも求めておらず、シフト制だ。
ファーストリテイリングでは今も、1週間に最低20時間以上の勤務を条件に地域正社員になることができる。たとえば週に4時間×5日という勤務体系も可能であり、働き方の選択肢はすでに多様だ。今回の報道は全国紙の一面トップにスクープ記事として大きく出たこともあり、業界関係者からは「週休3日制は、ブラック企業のイメージを払拭したいユニクロのプロパガンダでは」との見方も出ている。
同業大手は「週休3日制のメリットは(当社の場合は)会社側、社員側の双方で感じていない。3日も休むと仕事に支障が出る可能性がある」と話す。業界では週休3日制度の広がりは限定的になりそうだが、ユニクロにとっては救世主となるのかもしれない。