地方の雇用、実は元気 実態映す就業地別で北陸上位

総合地方の雇用、実は元気 実態映す就業地別で北陸上位

全国1位の東京都が実は15位だった――。地域でどれだけ仕事を見つけやすいかを示す都道府県ごとの有効求人倍率。政府の公表値と異なる実数を調べると、地方の健闘ぶりが目立つ。公共投資に加え、外国人観光客が増えて関連産業が堅調なほか、医療や介護の人手も足りない。「上京しないと職がない」という見方が変わりそうだ。(山崎純、松尾洋平)

 

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厚生労働省が公表するのは、本社所在地ごとの有効求人倍率。東京都に本社があるスーパーが青森県内の店の求人を出すと、原則として東京都の求人として計算するため都市部が上昇しやすい。これを就業地別に青森県の求人として数え直すと、地域雇用の実態がみえやすくなる。

2013年の実績を本社地別でみると東京都が1.33倍で首位。就業地別で計算すると1.00倍と大きく下がり、15位にまで転落する。「本社が集まる東京は公表値が実態以上に押し上げられている」(浜銀総合研究所の北田英治調査部長)。企業は効率化のため、ますます事務部門を都市部に集めており、東京都の求人倍率の“かさ上げ幅”は比較できる過去9年で最大になった。

就業地別で見直すと東京都や愛知県、大阪府、福岡県といった都市圏の9都府県が下がり、37府県が上がる。北海道は横ばいだ。最も大きく上がるのは福島県で、東日本大震災後の復興事業のため「県外の企業が人を集めて受注している」(福島労働局)という。

地方雇用が堅調な理由は、公共投資の効果に加え、医療・介護関連や観光業などの求人が膨らんでいるためだ。例えば健闘が目立つ北陸。就業地別の有効求人倍率では福井県が3位となり、富山県も5位に上がる。

北陸は15年春に新幹線が金沢まで開通するため、観光需要を見込んでアウトレットモールを新設するなど、流通・サービス業の雇用が堅調だ。富山県の2月までの直近半年間の新規求人数は、本社地別で見ても前年同期比13%増えた。福井県も半年間の製造業の新規求人数が24%伸びた。高齢化によって後発薬市場などが広がっており、北陸では地場製薬業も雇用を増やしている。

大規模災害に備えて企業がデータセンターなどを地方に分散していることも、地方雇用の押し上げ要因になっている。6位の香川県には、13年にNTTドコモがスマートフォン向けのコールセンターを新設。これまでは関東エリアにあったが、首都圏での災害時などを想定して分散を進めているという。

“職は地方にあり”ともいえ「上京すれば就職できる」というイメージは必ずしも実態を表さない。ただ東京も20年の五輪開催で、今後は雇用の大きな受け皿となる。全国的な人手不足感はさらに強まる可能性がある。