東京都内で企業のアスリート採用広がる JOCなど橋渡し

総合東京都内で企業のアスリート採用広がる JOCなど橋渡し

東京都内で五輪やパラリンピックをめざすアスリートを雇用する企業が増えている。日本オリンピック委員会(JOC)が進める企業と選手を結び付け、雇用と生活の安定を後押しする就職支援説明会「アスナビ」が拡大したことが背景。都も2015年度からアスリートの就職支援や企業側に選手雇用の情報を提供するなど、新たな事業を開始。官民で支援の動きが広がっている。

城北信用金庫(東京・北)は今春、アスナビを通じて採用した3人が入庫した。大前孝太郎理事長は「アスリートが将来に不安を抱えていることに問題意識を持っていた。安心して競技活動に専念できる機会を提供し、応援したい」と話す。

同信金ではアスナビ採用とは別枠で、13年にフェンシングの森岡美帆選手を採用した。4人のアスリートは正社員として働いている。競技活動のため出勤が週1回程度になることもあるが、職員らが大会に出向き応援するなど、社内の団結にもつながっているという。来年も1、2人程度の採用を予定している。

水産加工の阿部長マーメイド食品(東京・江東)は14年にフェンシングの千田健太選手を採用した。千田選手はグループ本社がある宮城県気仙沼市出身。イベントなどで地元産商品をPRすることが販促強化になった。

今年5月には後援会も発足し、競技の普及にも寄与した。阿部泰浩社長は「地元の復興活動や活性化にもつながると信じている」と話す。選手雇用は企業の社会的責任(CSR)活動による認知度向上にもつながる。

全日本空輸や三菱電機なども今年4月にアスリートを採用した。

都は今年度から都内在住・在学の現役アスリートの就職支援と、都内企業にアスリート雇用の情報提供などをする「アスリート・キャリアサポート事業」を開始した。選手に対してアスナビで就職した先輩アスリートとの交流会や、採用面接などのセミナーを開く。

企業向けには過去の採用事例などの情報を教え、アスリート雇用の理解を深めてもらう説明会を随時開く。11月に開催する首都圏中小企業の見本市「産業交流展2015」にも出展し、選手の雇用を啓発する。

都オリンピック・パラリンピック準備局は「企業・選手の双方からアスナビ参加を促し、競技活動に集中できる環境を整えたい」と語る。