最強組織グーグル、その「採用基準」とは? 人事担当責任者が語る「5つの条件」

総合最強組織グーグル、その「採用基準」とは? 人事担当責任者が語る「5つの条件」

全世界で話題! グーグルで人事担当責任者を務めるラズロ・ボック氏が書いた『WORK RULES!』の日本語版が、7月31日に発売される。「世界最高の職場」とも賞される21世紀の最強企業をかたちづくる、採用、育成、評価の仕組みをすべて惜しげもなく公開しながらも、あらゆる組織で応用できる普遍性を持った未来の働き方のバイブルでもある。本連載では、500ページ超の『WORK RULES!』日本語版より、エッセンスを紹介する。

永遠に完成しない人事体系

永遠に成長する企業に最も適した人事体系があるとしたら、それは永遠に完成しないだろう。

誰もが働いてみたいグーグル。その人事部門のトップを2006年から務めるのがラズロ・ボック上級副社長だ。1972年、共産主義政権下のルーマニア生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニーやGE(ゼネラル・エレクトリック)で勤務。日本で英語教師をしたこともある。

本年4月に米国で発売された著書『WORK RULES!』ではグーグルの採用、評価、報酬、福利厚生などがつまびらかにされている。その仕組みは不断の進化を続けている。

10年間で社員は6000人から6万人へ10倍に拡大(!)。それでも創業時の理念を全社員が共有している。(以下、カッコ内は鬼澤忍・矢羽野薫訳『WORK RULES!』日本版より引用)

「私がグーグルで過ごしてきた時間は実験と創造の急流下りのようなものだった。へとへとになったこともあれば、いらいらが募ることもあったが、目的、自由、創造に満ちた環境を作り出すべく、つねに前進を続けてきた」

困難な時期に試される社内の風通しのよさ

グーグルには3つの文化がある。

1.ミッション:世界中の情報を整理し、誰でも利用できる有益なものにする
2.透明性:社員は善良だと信じているなら、彼らと情報を共有することを恐れてはならない
3.発言権:誰もが自分の運命を支配したがっている

 

文化が重要となるのは、それが試されるときだ。2010年に中国本土から撤退するまでの社内議論が典型だ。検索サービスが中国当局のフィルターを通っているとユーザーに告知した後、サービス速度が遅くなった。

「私たちはどう対応するのが正しいかについて激論を交わした。エリックは経営陣によるスタッフミーティングを毎週開いていた。約2時間におよぶ会議の多くで、少なくとも30分が中国に関する話題に割かれた」

「会社中のグーグラーもまたこうした議論に加わった。(時には)エンジニア、プロダクトマネージャー、上級経営者が出席する製品検討会議の場で、金曜夜のパーティで、1度に数千人が参加する長いeメールでの議論で、社内の廊下やカフェで、議論が繰り広げられた。(中略)数千時間におよぶ議論を終え、世界中の社員からの意見に耳を傾けたあとで、検索結果の検閲は(受容)できないと判断した」

撤退で社員の団結は逆に強まった。こうした社風を醸成するための採用、評価、報酬、福利厚生はいったいどうなっているのだろうか。今回は、採用について解説していこう。

採用試験はハーバード大の25倍の倍率

ラズロ・ボック(グーグル人事担当上級副社長)1974年ルーマニア生まれ。米イェール大学でMBA取得。2006年からグーグルで人材部門を率いる。日本で英語教師も。

「私たちは毎年約200万通もの就職申込書を受け取る。出願者は世界各地にまたがっており、またありとあらゆる経歴を持っている。このうちグーグルが雇うのは年に数千人にすぎないから、ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学などと比べて倍率は25倍にもなる」

最強頭脳集団を維持するために、ボックが最も重要視するのは採用段階だ。組織における唯一にして最重要の人事活動と位置づけている。

2010年ごろまでは米グーグルの給与水準は他社より5割低く、優秀な人材を確保するためかなりの手間をかけなければならなかった。

一方で、自社にとって優秀な人間は、一流大卒の人よりも、チームワークに優れ困難に打ち勝つ力を発揮してきた連中だとわかってきた。

「アイビーリーグの平均的な──場合によっては平均以上の──卒業生より、州立学校をクラスのトップで卒業した聡明で勤勉な学生のほうを採用したいと考えている」

グーグルが欲しいのはエキスパートではなく「聡明なジェネラリスト」だ。社員紹介も多いが、100%合格ではなく、なお狭き門だ。

丁寧な採用活動を行うため、面接にはとりわけ時間を費やす。その背後にあるのは、事前にうまく社員を選べれば、雇った後は手間をかけずに済む、という考えだ。

よって、面接での質問の組み立て方にも工夫があふれている。日本企業でもありがちな、思いつきで質問して反応を見るだけの面接は、最初の10秒の印象の確証を得るために残り99.4%の時間を浪費している、と完全否定。よりシステマチックな面接をしている。

「ある人の職務能力を予測するための最善の指標は、ワークサンプルテストである。これは、採用された場合に担当する職務に似た仕事のサンプルを応募者に与え、その出来栄えを評価するものだ」

一般認識能力テストも有効だ。正誤がはっきりしているのでIQテストと同じことが明らかになる。ただし、女性と非白人の点数が低く出てしまう傾向があるという。そこで次の構造的面接の出番となる。

「一般認識能力テストと並ぶのが構造的面接だ。求職者は、回答の質を評価する明確な基準を持つ一連の整合的な質問に答える」

あなたは最強企業が求める人材なのか?

こうして質問の水準をそろえれば、候補者同士の優劣が見いだしやすくなる。また面接官個人のバイアスによる差も生じにくくなる。

構造的面接は行動面接と状況面接に分かれる。前者では、求職者はこれまでの自分の業績を説明して、応募した仕事とどう調和させるかを答えさせられる。後者では、「もし~なら、どうしますか」といった、仮想的な状況での質疑応答となる。

グーグルで使われているのは、こうした面接手法の組み合わせだ。

「面接の目的は、採用候補者がチームに加わったとき、どのくらいの力を発揮するかを予測することにある。私たちはこの目的を達成すべく、科学の語るところを実行する。つまり構造的行動面接と構造的状況面接を、認識能力、誠実性、リーダーシップの評価と組み合わせるのだ」

グーグルは、面接者の支援ツール「qドロイド」を開発した。求職者に担当させたい仕事を選ぶと、面接ガイドがeメールで送られてくる。面接者はそれに沿って質問するので、採用担当者同士の面接レベルの平準化や情報共有が容易になる。定量化によって、採用活動の質も向上する仕組みになっている。グーグル向きの人材は以下のとおり。

「愉快なことを楽しむ/ある程度の謙虚さを備えている/きわめて誠実である/曖昧さを楽しむ余裕がある/人生で勇気のいる、または興味深い道を進んできたという証拠を手にしている」