転職希望者、技術磨いて 人材サービス会社支援策

中途転職希望者、技術磨いて 人材サービス会社支援策

人材サービス各社は転職希望者のスキル向上を支援する。アデコは転職先の企業で一時的に働くインターンシップを導入し、パソナは経理現場での実力を見極める独自資格を設けた。企業の業績回復に伴い即戦力となる中途社員の採用意欲が高まる一方で、人材の質を厳しく判定する傾向は変わらない。支援は転職者と求人企業のミスマッチ解消に役立ちそうだ。

 

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アデコは採用支援を手掛けるリンクアンドモチベーションと共同で、3カ月間のインターンを組み込んだ転職支援を5月に始める。転職希望者は営業などに必要なコミュニケーション能力を高めるため、アデコが提携する旅館や福祉施設で接客などの経験を積む。そのうえで同社の社員として、中途社員を望む企業で3カ月間働く。

転職支援サービスでは希望者に複数の求人企業を紹介する程度にとどまることが一般的。実際に働く機会を提供するのは珍しい。リンクが働きぶりの評価を定期的に企業から聞き取り、その結果を転職希望者と共有して能力向上につなげる。

3カ月後に企業と希望者が納得すれば正式に雇用契約を結ぶ。成立しなかった場合は他の求人企業でインターンとして働き、最も適した転職先を見つけるようにする。

人材サービス会社は転職が成立すれば求人企業から報酬を得る。転職者の年収の3割程度の場合が多いとされ、ミスマッチ解消は人材会社の収益向上につながる。

新卒・パートを除く有効求人倍率は転職市場の状況を示すとされる。厚生労働省がまとめた2月の倍率は0.98倍(実数値)で前年同月比0.21ポイント上昇した。転職希望者への求人は増加傾向だ。

それでも企業が中途人材に求める条件は厳しさを増している。「求人倍率が同程度だったリーマン・ショック前と比べ、転職の成功率は明らかに下がっている」(人材サービス大手)という。

パソナは日本CFO協会(東京・千代田)と共同で、経理の現場業務に特化した資格を新設した。経理能力は簿記検定で見極めることが多いが、実務経験を反映する仕組みも必要と判断した。

同社が設けた資格は債権管理や在庫管理など、経理の現場で必要な能力に特化して判定する。転職希望者は資格を取るための勉強が現場能力の向上につながる。企業は経理担当者に適した人材を選びやすくなる。

業界団体の人材サービス産業協議会(東京・千代田)もミスマッチ解消に動き出した。「会社のルールと個人の判断はどちらが優先されるべきか」など、転職希望者の価値観を知るための独自アンケートを作成した。求人企業も同じアンケートに答え、価値観の近い人物を選び出す仕組みだ。人材サービス各社に無料で提供し、複数の企業が使い始めている。