総合転換期を迎えるライフサイエンス業界で転職市場が活発化
外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社は、「グローバル化の波」「M&Aや組織再編に伴うビジネス環境の変化」「品質管理に対する意識レベルの更なる向上」などを背景に、日本のライフサイエンス業界は深刻なスキル不足の状況にあるという見解を示した。
同社が発表した最新の採用動向レポートによると、このような状況を象徴するかのように、薬事規制関連業務(RA)や研究開発・臨床分野での人材需要が逼迫していることが報告されている。あらゆる職種の人材需要が高まる一方で、求職者・候補者の母数には変化が見られないため、恒常的なスキル不足の状態が生じているとしている。
背景には「グローバル化の波」がある。企業のグローバル化によってバイリンガル人材への需要はますます高まり、大手だけでなく準大手や取引先である中堅企業の人材採用にも影響している。ライフサイエンス企業は採用にあたってTOEIC850点以上の高いレベルの英語力を要求する場合が多く、経験や専門性、関係各所との良好な関係が重要視されてきたポジションにも将来有望なジュニアレベルのグローバル人材を採用するケースが現れている。
新製品の販売と売上げ拡大の成否を左右する薬事規制関連業務(RA)は高度な専門性が求められる職種なので、これまで未経験者の採用には非常に慎重だったが、最近になってクリニカル・リサーチ・アソシエイト(CRA)などの治験関連経験を持つRA未経験者を採用する企業も増え、将来性のある若手求職者には研修を積んでRAエキスパートになれるチャンスも開かれてきた。
「M&Aや組織再編に伴うビジネス環境の変化」により組織全体や現場の効率化が求められるようになったのも一つの背景だ。企業側は安定的なスキル確保を目的に正社員の採用に力を入れている。
一方、医薬品研究開発の分野では業務効率化のためCRO(受託臨床試験機関)を活用する企業も増え、これを受けて新たに日本市場に参入する外資系CROも増えている。そのためCRO各社では経験豊富な治験担当マネージャーを求めているが、求職者の多くは製薬企業側で働きたがる傾向にあるため、人材需給のアンバランスが生じている。
また、もともと安全に対する意識の高い日本の市場において、品質管理に対するプレッシャーがますます高まっているのも一つの背景だ。医薬品販売において重要な薬事申請プロセスに対応する高スキルのメディカルライターの需要が高まる一方、主に医薬品市販後の安全性の監視活動を担うファーマコビジランス(薬剤監視)の需要も同様に高まってきている。
品質管理部門は都市圏から離れた場所にあることが多く求職者にとって魅力的な立地条件ではないこともあり、品質管理スタッフの採用は次第に困難になってきている。GMP(医薬品や医療機器の製造および品質管理に関する基準)スペシャリストの需要も高まっているものの、採用市場にはニーズを満たすだけの十分な人材が不足しているのが現状だ。