総合女性・シニアが雇用けん引 4月失業率、18年ぶり低水準
女性とシニアが雇用情勢の改善のけん引役となっている。29日発表の4月の完全失業率は3.3%で18年ぶりの水準まで下がった。景気回復と人手不足を背景に、長年の懸案だった女性や高齢者の就業が増える構図だ。ただ、女性や高齢者は賃金が比較的安い非正規労働者として働くことが多い。雇用の改善が本格的な賃金上昇につながるには、もう少し時間がかかりそうだ。
「経済の好循環に向け動き始めている」。失業率が18年ぶりの低水準になったことを受け菅義偉官房長官はこう語った。
4月は有効求人倍率も1.17倍と約23年ぶりの高水準。勤め先の都合で退職を迫られた人は40万人にとどまり記録を取り始めた2002年以降で最低の水準になった。消費増税後の景気低迷から抜け出し、企業が生産活動を拡大していることも影響している。失業率は日本が長期デフレに陥る直前の1997年4月の水準にまで戻った。
当時と比べて際立つのが女性の労働参加だ。人口のうち実際に働いている人の割合を示す「就業率」を97年4月と比べると、25~34歳の女性で58.4%から69.6%に跳ね上がった。「35~44歳」でも5ポイント近く上昇し、69.9%。出産や育児の時期でも復職までの期間を短くして働く女性が増えている。
シニア層の就業率もここ数年、じわりと高まっている。65歳以上の就業率は、09年の19.6%から21.3%に上昇。この間に就業者は150万人増えた。
生産年齢人口が減るなか、企業は女性や高齢者が働きやすい環境を整えている。そこに景気回復による企業の求人増が加わり、労働需給が逼迫している。
本来なら失業率の改善は1人当たりの賃金の底上げを呼び込むはず。だが、女性が主力のパートの賃金は正社員の3割程度、シニア層は退職前の6割程度が相場。働く人が受け取った報酬の総額は増えているが、生活実感に近い1人あたりの平均賃金が伸び悩んでいる。物価の影響を除いた1人あたりの3月の実質賃金は前年同月比2.7%減った。減少は23カ月連続だ。
帝国データバンクが全国約1万社に聞いた調査では、企業の37.8%が正社員が不足していると答えた。特に「情報サービスや建設では正社員がとれず、非正規社員を増やすことで何とか回している」(帝国データバンク産業調査部)。
人手不足が深刻な業界では、人材を確保するため非正規社員を正社員に登用する動きが強まっている。SMBC日興証券の渡辺浩志シニアエコノミストは「非正規社員が正社員になり、働いていない女性や高齢者が労働市場に参加するようになれば1人当たり賃金も上がりやすくなる」と指摘する。