総合障害者、企業でいきいき スーパーなど働く場広がる
障害者が福祉施設以外で働く機会が広がりつつある。障害者に仕事を発注すると国から「奨励金」が支給される制度を活用する企業が増えてきているためだ。障害者は一般の人々と触れ合いながら働くことができ、人手不足の企業は労働力を確保できる。福祉施設関係者は「障害者と企業の双方にメリットがあり、もっと活用する企業が増えてほしい」と話す。
神奈川県平塚市にあるスーパー「しまむらストアー長持店」では、知的障害者4人が、清掃や野菜の袋詰め、商品棚の整理などに打ち込む。彼らは社会福祉法人「進和学園」(同市)が運営する福祉施設「しんわルネッサンス」の利用者で、スーパーを経営する「しまむら」(同市)から仕事の発注を受けている。
しまむらが障害者に仕事の発注を始めたのは2012年。パートの退職が相次ぎ、人手不足が続く中で、在宅の障害者に働く機会を提供する国の「在宅就業障害者支援制度」を知った。
06年創設の同制度は、企業が障害者に報酬105万円を支払うごとに6万3千円の特例調整金が支給される(従業員200人以下の企業の場合は5万1千円の特例報奨金)。今春からは企業が35万円の報酬を支払うごとに2万1千円の特例調整金が支給されるようになった(特例報奨金は1万7千円)。
厚生労働省によると、同制度の実績件数と支給額は、06年度は0件だったが、徐々に増え、13年度は11件(422万1千円)で、累計では計67件(計2355万円)に上っている。
施設外での就労は障害者側にもメリットが大きい。進和学園スタッフの井上朝陽さんは「甘えが許されず緊張感があるため、本人たちの達成感が大きく成長も速い」と指摘する。スーパーで品出しやトイレ清掃などを担当する男性(34)は「まだ未熟なところはあるけど、働くのはとても楽しい」。女性(42)は「野菜の袋をテープで締めるのは大変だが、もっと長時間働きたいし、お金も稼ぎたい」と話す。
在宅就業障害者支援制度の活用例をみると、仕事内容はウェブデザインや食料品の生産、病院の清掃、車の部品組み立てなど幅広い。社会福祉法人「維雅幸育会」(三重県伊賀市)の障害者約20人は、同制度を活用したメーカーの工場で商品の包装作業を担う。
ただ、同制度では企業が障害者を直接雇用するわけではなく、障害者の雇用を義務づける法定雇用率には加算されない。障害者支援団体関係者は「同制度を普及させるためにも、企業が障害者に仕事を発注した場合は、法定雇用率に加算する『みなし雇用』の導入も検討すべきだろう」と指摘している。