新卒就活 大学生手探り 大手「本命」長期戦に
2016年春に卒業予定の大学生の就職活動はスケジュールが繰り下げられ、大きく様変わりしている。県内では、手探りの学生から戸惑いの声が広がる一方、「売り手市場」を背景に中小企業は危機感を募らせる。インターンシップ(就業体験)などで早くから学生と接触する企業も多く、就活が長期化する学生も出ている。(石橋武治)
◇ 卒業研究不安も ◇
「昨年8月から就活を始めたが、大手狙いで夏まで続ける。結局、1年間続けることになる」
24日、就職活動を行う学生向けに仙台市内で開かれた講習会。市内の私立大に通う女子学生(21)はこう漏らした。
パチンコ店経営会社からすでに内定をもらったが、本命の大手企業の採用活動はこれから本格化する。「就活期間が長い一方で、会社説明会など重要なイベントは3月に集中している。追い立てられるような感覚が抜けない」とため息をつく。
経団連の新ルールでは、会社説明会の解禁が12月から翌3月に、採用選考が4月から8月に繰り下げられた。内定解禁は10月1日以降でこれまでと同じだ。「学業に専念する期間を確保する」のが目的で、経団連に加盟する大手企業約1300社が対象となる。
東北学院大4年の大仁田稜さん(22)は「学生団体での活動を最後までできた。思い切り就活に臨める」と歓迎する。
ただ、経団連に加盟しない企業では採用選考を終えるところもあり、仙台市内の私立大に通う男子学生(24)は「3月に入ってから始めるのでは、もう出遅れ組」と困惑する。東北福祉大4年の沓間築さん(21)は「繰り下げられたことで、就活を終えてから卒業研究が間に合うのか不安」と打ち明ける。
◇ 中小は「先手必勝」 ◇
一方、県内の中小企業には「先手必勝」で人材確保に動くところも出ている。
「大手の結果を待っていては採用が遅くなる。学生との接触は早いほうがいい」
中古車販売会社の阿部勝自動車工業(石巻市)で採用を担当する熊谷和樹さん(26)は語る。
地方の中小企業が採用試験を受けてもらうには、学生との接点を増やすしかない。「大手を差し置いて選んでもらうためには、積極的に動かないといけない」と力を込める。若手社員が後輩らに会う「リクルーター」活動にも初めて取り組む。
大手企業の採用活動が後ろ倒しになったことで、中小企業にも目を向ける学生は増えているといい、「いい人材を確保できるチャンス」(不動産会社)との声も聞かれる。
ただ一方で、内定を出しても、後から大手企業の採用が決まり、学生に辞退されるケースが増えることも懸念される。就職情報会社「マイナビ」が15年2月に行った調査では、内定辞退者の増加を懸念する企業の割合が66・9%と、前年比23・4ポイント増と急増している。
中小企業の採用活動について、人材コンサルタント会社「ザメディアジョン」の田村洋介さん(29)は「内定者が流れてしまうリスクを覚悟してでも、選考を進めなければならない苦しい状況に立たされている」と分析している。