できる人事が放つ優秀な人材を見分けるキラーな質問

総合できる人事が放つ優秀な人材を見分けるキラーな質問

ある企業で人事・採用を担当する人から、興味深い話を聞きました。

「別段『学歴』で採否を決めているわけではない。でも、結果的に学歴が採否に関係してしまうある背景が(少なくとも小社には)ある」とおっしゃる。

それは人事の面接での「話し」の突っ込み加減による、と言うのです。

人生で今まで何をしてきたか?

「あなたは今までの人生で、いったい何をしてきましたか?」

こんな質問をされたら、どんなふうにお答えになりますか?

私は生まれてこの方、人事採用の面接というものを受けたことがないので、実はこういう問題を考える資格がないかもしれないとも思うのですが、世の中では入社試験を筆頭に、様々な人事の面接で、この種の質問をすることがあるようです。

「次の方」

22歳、新卒予定、リクルートスーツに身を固めた大学生の青年が面接室へと入って来ます。基本的な自己紹介のあと、例えば次のような質問があるとしましょう。

「あなたは今までの人生で、いったい何をしてきましたか?」

こんな質問の仕方をして「はい、私は人生でこのような仕事をしてきました」なんて言える若者は、ほとんどいない、とおっしゃるわけですね、その担当者の方は。

これは中途採用にしてもあまり変わらないそうで、前職ではこれこれを担当しました、こんなでした・・・でだいたい済んでしまう。

学生の場合は「サークルでは何々をしました」「バイトではコレコレをしました。店長もやりました」「資格も取りました・・・」まあこんな程度。

つまるところ、5分で終わってしまうというのです。ところが、そうでない人というのが稀にいる。そういう人の場合は、2時間あっても足りないことになると言うのです。

「私は高校生のとき、こんなことを考えて、交換留学でオーストラリアに何か月行きました。行った先は牧場で本当に素晴らしくて・・・」

とうとうと喋って止まらない人が、時折いるようです。

「大学はAO入試で××大学○△□☆学部に進みました。研究会の教授は◎◎先生で、専門は●▲★■なので、私はインターンシップ制度を利用して・・・」

延々おしゃべりが止まらない。採用担当が「どうして小社を志望されたのですか?」的な質問などしようものなら、もう、とうとうととどまることを知らず、

「それはQWERTYUIOPASFGHJKLZXVB・・・・・」

と、どこまで続くか分からない状態になる。

では、そういう売り込みのうまい学生が「使えるか?」というと、実のところは必ずしも・・・、というのが実情のようです。

「有言実行型」か「有言無行」か?

確かにセルフ・アピールの強いと言うかうまい、もっと言えばそれで味を占めてきた学生というのはいるわけで、これは海外の方が顕著、米国人などおよそ何もない若者が何でもやってきたようなビッグマウスで演説することが少なくありません。

日本はそういう意味では極めて謙虚な国民性で、そんなおしゃべりを延々続ける人は少ない。そうなると、勢いおしゃべりな人が面接などで有利となり、採用という意味では合格しやすくなる傾向は確かにある。

「まあ、とってみようじゃないか」ということでしょう。

大学としては、それで就職実績が伸びれば万々歳ですから、何の問題もありません。が、採用した方の企業では、そこから先、社内で働いてもらわねばならぬわけですから、他人事ではすまされません。

セルフ・アピールの強い人は、端的に2つに分かれるようです。

1つは「有言実行」型人材。

もう1つは「有言無行」型とでも言うべき、口で言うことだけは立派なのだけれども、現実に手が動かなかったり、人の仕事を自分のものにすり替えたりする、端的に言えば困った人。

その割合は一概に言えないそうで、半々とも9-1とも1-9とも断定はできないけれど、口がうまい人が即、優秀な戦力などとは絶対に言えない、これはまあ鉄板と言ってよいらしい。

人事としては、口のうまいへたではなく、本当に仕事できる人を採りたいわけですが、「あなたが今まで人生で取り組んで、成し遂げてきたことは何ですか?」なんて質問の仕方では、その人の能力を見るのは困難だというわけです。

そんな時、実は有効な質問があるというのです。

「あなたは受験の時、どんな勉強をしましたか?」という質問が、その人の能力を見るのに参考になるというのですね。

苦手科目の攻略法

「今までの人生で何か成し遂げたことがありますか?」と22歳の青年に尋ねても、あまりまともな答えは返ってこない。5分もせずに気まずい沈黙に陥ったりするのがオチだったりする。

ところが、そんな学生に「貴方は受験の時、どんな勉強をしましたか?」とか、「得意科目はなんですか? 苦手な科目は?」、さらには、「苦手科目にはどんなふうに対策しましたか?」なんて尋ねていくと、突然能弁になったりする、というわけです。

実際苦労したものについて、何を考え、どういう対策を立て、どんなふうに努力したか? 結果的に大学受験には合格(あるいは不合格の経験も貴重)しているわけで、そうした「修羅場経験」の詳細を、10代後半なりの努力でしているわけですね。

そこでどんな対策を立てたか、立てられなかったか、勉強したか、しなかったか、AO入試で済ませたとか、志願者がいったいどういう人物か、ある難局に直面した時、どのような対処を自ら工夫して問題解決に当たる能力を持っているか、その目安になる基本的な情報を、入試・受験に関する質問で得ることができるというのですね。

これがスポーツとかサークルとかだと、努力は結構なのだけれど、本当に何がどうなったかが分からない。ところが善し悪しとは別に受験の場合、結果がはっきりしているので、人事考査のうえで現実に役立つというわけです。

企業は「有能」な人材が欲しい。そこで求められるのは、言われたことをしっかりできる人かもしれないし、正解のない問題が出た時にゼロから対処を考えられる人かもしれない。いろいろな求人がある。

そういう時、問題に系統だった解決策を見出すことできる人材を確実に選ぶうえで、受験での苦労談、特に苦手科目の攻略法はとても有効な情報を与えてくれるというわけです。

そんな時、マークセンスなどの入試で大学受験をクリアした人は、やはり話が5分以上10分とか15分で終わってしまいがちだけれど、記述式のガッチリした入試であれこれ悪戦苦闘した経験のある若者は、微に入り細にわたって対策をじゃべるだけで、簡単に30分は経過してしまうし、そこでその人が基本的にどういう物事への対処の傾向を持っているか、おおまかに掴むのには十二分な情報が得られるという。極めてキラーな質問になるようです。

「そこで、結果的に『出身校』が影響してくるんです」と言うのです。

つまり、記述式の入試で、ああしようか、こうしようか、どうしようかと苦労してきた「受験修羅場経験」を積んできた学生は、作戦を立て、攻略目標を設定し、弱点をカバーし・・・という問題解決のストラテジーを立てるキャリアを結果的に積んでいて、そういう詳細を尋ねると20分でも30分でも、微に入り細にわたった説明をするという。

最初は「え、そんな細かいこと、しゃべっていいんですか?」なんて躊躇しても「いえ、いいんです、できるだけ細かく説明してください」と言うと、若い人が、時には浪人の苦い経験なども踏まえて、実に生き生きとそういう話をしてくれるそうです。

その結果、その種の人事をしているわけではないのに、一部の大学出身者が採用者の中で多数を占めていることが少なくない・・・。

なるほどなぁ、と思いました。

昨年のSTAP細胞不正も、もとをただせばAO入試が原因となって発生した低学力詐欺と言うべきものでした。

自己アピールだけが強い「有言無行」を通り過ぎて虚偽捏造まで許容してしまった採用システムのザル加減といい、きちんと考えるベ問題であると改めて痛感させられる思いでした。