総合上司と部下のディスコミュニケーションによって起こるトラブルの回避策
上司や先輩などから「この仕事をやっておいてほしい」という指示を受けることがある。多くの人はそのまま受けて、真剣に仕事に取り組む。だが、いざ仕事ができ上がると、事前の打ち合わせが不十分だったりして、上司がダメ出しをするケースがある。
この時、感情的になってしまい、「あなたがいい加減な指示をするから、こうなったんだ」と言いたくなることはないだろうか。私も会社員の頃、「もっときちんとした指示をしてもらえませんか?」と言い返して、上司と口論になったことがある。今回は、仕事を依頼される時、少なくとも押さえておくべきことをピックアップした。これらを心得ておくだけで、そういったトラブルを多少なりとも防ぐことができるはずだ。
1.仕上りのレベルを確認する
上司が部下に対し、「この仕事をやってておくように」と指示をする。その時、通常なら上司の頭の中には「このくらいのレベルには仕上げてほしい」というイメージがあるものだ。ところが、それを具体的に伝えないことが多々ある。もしくは、中途半端な指示により、どこまでこちらで進めたらいいのか、困惑するパターンもよく聞かれる。
そんな時は、あなたが部下として仕事を受ける場合、仕上がりのレベル、そして押さえておくべき範囲を確認しておくことが大切だ。「上司がはっきり言わないから、あえて聞く必要がない」とは思わないほうがいい。すべての上司が、仕事を依頼すること、仕事の指示をすることが上手いとは限らないからだ。
ちなみに、そういった確認をする時、「▲▲▲くらい(のレベル)でいいですか? 例えば、●●●のような感じに進めればいいですか?」などと、確認をしながら質問してみよう。その場合、すでにでき上がっているものや、仕上がったものなど、具体的にイメージできる事例を見せられるのがベターだ。上司と一緒にいる時に、それを確認し共有することが最も大切で、「ここはこんな感じで進めるということですね」と、念入りに確認し、ゴールのイメージを共有しておくことが重要だ。グレーな部分はできるだけ、具体的にしてから依頼された仕事を進めることが大切だ。
2.ゴールを共有する
「1」と表裏一体だが、これもまた、なかなかできないまま、トラブルに巻き込まれる人が多い。いつまでに、どのようなレベルに、どのようにして、仕上げるのか? その仕事が持つ目的や意味は何か? 上司が考えるゴールについて、依頼する側と受ける側の認識を可能な限り、擦り合わせをして、近づけることが大切なのだ。私の経験論でいえば、これはかなり難しい。というのも、依頼する上司の側が必ずしも明確な考えを持っているわけではないからだ。それでも粘り強く話し合いを重ねて、ゴールのイメージをより鮮明にしておくことを常に心がけるようにしよう。理屈の上では、多くの人が心得ているが、実際は相当に難しいことである。
3.締め切り、納期の前後を確認する
ほとんどの仕事には通常「デッドライン」(納期)というものがある。締め切りや納期のことだ。仕事をする上で、当然、これらを守ることは大前提となる。だが、仕事の依頼を受ける時、実はその確認がされず、何となく進んでしまうことがある。確認のやりとりがされたとしても、仕事を依頼する側と受ける側の双方が、漠然と「●月●日まで」と話し合うだけで終わってしまうケースも多い。
例えば、上司は「君が●日●時までに、仕上げてくれれば、▲日の午前中には、その確認ができる」などと、仕事のスケジュール感がわかるような確認がされていない。「●月●日●時までに仕上げておくように」と聞くだけでは、全体の流れがつかめていないのと同じだ。部下からしてみると、この仕事のはっきりとしたイメージが湧いてこない。本来は、仕事の締め切りや納期の前後の流れについても、上司と部下の間でコンセンサスを得ておくことが望ましい。そのほうが、互いの意識を高めたり、より効率よく仕事を進めることができるかもしれない。
4.互いの仕事の状況を確認する
上司がある仕事を部下に命じる時、当然、部下は他の仕事をしている可能性が高い。上司が部下の状況をきちんと把握せずに進めると、トラブルが起きやすい。例えば、上司が「あいつは今、抱えている案件が少ないはずなのに、どうして、このレベルの仕事ができないのか?」と不満を持つかもしれない。逆に、部下にしてみれば「上司はそんなに忙しくないはずなのに、どうして、今、こんな仕事を押しつけるのか?」と疑問に思うこともある。
こういう不満を持ちながら仕事をしていると、少々のミスがあっただけでも互いに疑心暗鬼になる。上司は「あいつは手を抜いている」と思い込み、部下は「部下のことを全く考えていない、いい加減な上司だ」と、上司を冷めた眼差しでみるようになってしまう。ここから、さらに不満は増幅し、溝は深まる。ついには、仕事がスムーズに進まなくなったり、部署全体の雰囲気も悪くなったりするのだ。
職場において、仕事を依頼したり受けたりすることは、頻繁に、日常茶飯事的に行なわれることだ。だからこそ、意思の疎通、確認は大切にしなければならない。これがスムーズに行なわれるだけで、信頼関係は深まるし、互いに自信にもつながる。そして、仕事も楽しくもなる。新年度が始まり、人の入れ替わりもあるこの時期、あらためて、その基本を見直してみてはどうだろう。