企業の採用「脱ネット」…就活カフェにリクルーター復活、対面重視にシフト

新卒企業の採用「脱ネット」…就活カフェにリクルーター復活、対面重視にシフト

キーワードは「脱ネット」-。就職活動で企業の採用手法に変化の兆しが出てきた。インターネットに頼った採用が「質」の低下も招いたとの見方から、対話を重視した採用活動が見直されており、カフェ形式で学生と出会いの場を設けたり、リクルーターに似た制度を導入した企業もある。今年の就活は前回より3カ月繰り下げの“短期決戦”。あえてアナログ回帰で優秀な人材を囲い込む戦略が功を奏するか注目だ。

「じっくり話したい」

「言いたいことは簡潔に書くように気を付けて」

京都市上京区の「知るカフェ同志社大学前店」。2月中旬に訪れた際は、50席ほどの店内で協賛企業が就職の応募書類の書き方を指南する講座が開かれていた。ある人事担当者は「学生と直接触れ合う機会は貴重」とメリットを話す。

協賛企業のスポンサー料で運営され、学生は登録すれば無料で利用できる。企業と学生が少人数で交流できる場という趣旨だが、協賛企業は採用をにらんだ活動が可能だ。カフェを開設したベンチャー企業、エンリッション(京都市)の柿本優祐社長(27)は「学生と直接会い、じっくり話したいという企業が増えた。就活ナビサイトを中心とした採用活動を見直す動きも背景にある」と指摘する。

就活ナビは、登録すれば企業の説明会や採用試験への応募が可能。多くの企業が利用し、利便性は抜群だ。ただ、手軽に利用できるため「とりあえず」応募する学生も多く、企業は事務処理が増すほか、求める人材に出会いにくいとの声もある。知るカフェの協賛企業であるライフネット生命保険は「情報量が学生の処理能力を超えている」と就活ナビの利用をやめた。

説明会にOBを派遣

大学が主催する企業説明会にも潮目の変化がある。東洋ゴム工業は従来の人事担当者に代わり、その大学を卒業した若手社員を説明者に立てる。親しみを感じやすいOBを派遣することで交流を活発化させる狙いで、「学生の関心をしっかり見極めたい」とする。

平成28年3月に卒業予定の大学生を対象とした会社説明会などの就職活動は3月1日に解禁。前回より3カ月後ろ倒しとなった。

関西アーバン銀行は「採用期間が短くなり競合が激しい」として、学生との交流会で採用活動の一端を担う社員を前年から倍増する。シャープは採用担当者による大学訪問を例年の倍に増やす。会社説明会の回数を増やすグルメ杵屋の担当者は「就活サイトだけでは外食産業を選んでもらいにくい」と話す。

ただ、就活サイトの活用も欠かせないとの声も。照明器具・家具メーカーの小泉産業(大阪市中央区)は「大手企業なら自社の採用サイトに絞ることもできるが、(学生の関心が薄い)中堅企業はそうはいっていられない」と悩ましげだ。

パソナの土田浩子フレッシュキャリア社員制度プロジェクト長は「ネットも活用しつつ、自分の足で動き先輩社員の考えや働き方をしっかりみてほしい」と学生にアドバイスしている。