新卒高卒内定「バブル期並み」88% 工業高生に引く手 企業、人材不足「即戦力」に
高校生の就職環境が本格的に回復している。文部科学省が16日発表した今春卒業予定で就職を希望する生徒の昨年末時点の内定率は88.8%で、「バブル期並み」(同省)の高水準。景気の持ち直しで製造業や建設業の人材不足が続き、工業高校生は企業から引く手あまただ。学校側も企業が求める「即戦力」育成のカリキュラムを組み、支援している。
各地の工業高校には大手企業からの求人票が次々と舞い込み、就職内定率100%を達成した学校も珍しくない。
「1年生のうちから就職への意識を高めるための教育システムを築いた成果が出ている」。機械や電気について専門的に学ぶ都立北豊島工業高校(東京・板橋)の進路指導部主任、三好康弘教諭は強調する。今年3月卒の就職希望者85人のうち、84人(98.8%)が就職先を確保した。
同校は2012年度、通常のインターンシップに加え、ドイツ生まれの職業訓練制度「デュアルシステム」を導入した。短期間で職場を体験するインターンシップと異なり、3~4カ月にわたって週1回、社員と一緒に働きながら実践的な技術を学ぶ。今年度も同制度に参加した9人のうち8人が訓練先から採用された。
同校には前年度より約180社増の698社から求人があり、住友重機械工業など大手からの求人も届いた。三好教諭は「資格の取得も大切だが、若い人材を一から育てたい企業は多い。学力はもちろん、社会人としてコミュニケーションをとれる生徒を育てたい」と意気込む。
生徒が自ら課題を解決する「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる授業形式を取り入れるのは千葉県立市川工業高校(市川市)。設計などを学ぶインテリア科(定員40人)では、生徒3~4人のチームで周辺の空き地を探し、土地の状況に適した建物の設計や内装、インテリアを考え、発表し合っている。
指導する金子裕行教諭は「建設や製造の現場で、職人らとしっかり意思疎通できる人材になってほしい」と狙いを話す。同校の昨年度の就職希望者の就職率は100%で、今年度も就職を希望する141人のうち136人(96.5%)が内定を得た。
大企業が高卒者の採用を積極化しているため、中小企業は人材確保が難しくなっている。
東京都内の中堅の電気設備施工会社は、工業高校の電子科に絞り求人票を出したが、50人の採用計画に対し、採用が決まったのは26人。担当者は「景気回復に伴い、大企業の地方工場が稼働率を上げ、人材が大手に流れている」と説明。「中途採用も視野に入れる」と危機感を抱く。
リクルートワークス研究所によると、建設業や製造業では人材不足が続き、高卒者を積極的に採用する企業はさらに増える見通し。戸田淳仁研究員は「大卒者の採用競争が激しくなっていることもあり、高卒者を求める企業が増えている」と指摘する。
