新卒「3月解禁、8月選考開始」を鵜呑みにするな
明治大学駿河台キャンパスで1月30日「就職活動直前セミナー」が開催された。これから本格的に就職活動を開始する3年生を励ますためのイベントだ。
明治大学では、かつて就活シーズンの始めに就活生を激励するための「出陣式」を行っていて、テレビや新聞などでも大きく紹介されていた。その後、青田買いの横行で就活解禁日にあまり意味がなくなったことから、出陣式も取りやめになっていたが、3年前から「就職活動直前セミナー」という名称で復活した。
すでに始まっている企業の採用活動
就職活動直前セミナーは福宮賢一学長の学生への激励あいさつからスタート、最後は六大学野球で有名な応援団のエールで締めくくられた。就職に強いと定評のある明治大学らしいイベントだった。
経団連の指針によれば、今年の就活は3月スタートだが、企業の採用活動はすでに始まっている。
採用関連調査を手掛けるHR総研の調査によると、2016年採用の新スケジュールについて「賛成」と答えた企業はわずか5%であるのに対して、「反対」と答えたのは57%にも達している。企業は採用スケジュールの後ろ倒しを快く思っていない。
さらに、2014年12月時点ですでに実施した施策を聞いたところ、「特にない」と回答した企業は37%にとどまった。「キャリアセンター訪問」(33%)、「インターンシップ」(28%)、「学内企業セミナー」(25%)などは4分の1以上の企業が実施済みと回答している。
また、17%の企業は「採用ホームページの開設」を済ませているし、7%の企業が「プレエントリーの受付」を、4%の企業が「選考」をすでに開始していることもわかった。多くの企業が理系学生の確保を意識していて、理系研究室への訪問は約半数(49%)の企業が実施済みだ。
8月以前から面接は本格化
それではいつから面接が始まるのだろうか。HR総研の面接開始時期に関する質問に対して、経団連の指針どおりの「8月以降」と答えたのは大手企業(従業員1000人超)のうち37%しかいなかった。逆に言えば6割以上が指針を守る意思がないことになる。
また、中堅・中小企業で「8月以降」と答えたのは2割強しかない。大手企業に比べて知名度の低い中堅・中小企業は採用に焦っていて、8月以前からどんどん面接を行うつもりだ。
2016年新卒採用で大きな特徴は、インターンシップが増加していること。インターンシップを採用に直結させてはいけないことになっているが、実際のところ、インターンシップと採用が関連していることは周知の事実である。
HR総研の調査では、大手企業(従業員1000人超)の場合、「選考とは関係ないが応募者が採用に結び付く割合が高い」「選考に関係あるが明示していない」との回答を合わせると57%になる。要するに、インターンシップは採用と関連するのだ。
実際に学生に取材してみると、「夏や秋のインターンシップに参加したときに親しくなった人事担当者に、その後、何回か食事会に呼ばれた」といった声が多い。このようにインターンシップをきっかけに優秀な学生と親しい関係を築き、食事会や3月以降の説明会で囲い込んで、採用につなげるということは以前からもあった。こうした展開は予想の範囲内だ。
しかし、最近は特定の学生を何回もインターンシップに参加させるという動きがある。都内のある学生は「夏のインターンシップに参加したら、秋のインターンシップにも呼ばれて、冬のインターンシップにも参加しないかと誘われた」。これでは、実質的に夏のインターンシップが1次試験、秋が2次試験、冬が3次試験と言えるのではないか。
インターンシップのピークは2月
インターンシップ開催のピークは今年の2月。解禁直前のインターンシップは採用試験と見るのが普通だろう。企業はインターンシップで目をつけた学生を、リクルーターの派遣、説明会、食事会などで囲い込むに違いない。
明治大学の「就職活動直前セミナー」で福宮賢一学長は「就活は思い切りも重要。様子を見すぎるのではなくて、アクセルを踏むことも重要」としたうえで「学生に失うものはない。勝ち取ることを考えてほしい」と激励した。
さらに、「キャリアセンターには40人のスタッフがいて、毎年2万件以上の相談に応えている。5000社以上の企業から求人がある」と大学のサポート態勢が万全であることを強調した。
会場にいた学生に話を聞くと「イベントに出て気合いが入った。後期試験も終わったし2月から就活を頑張ろうと思う」「大学が学生を応援してくれていることが伝わってきた。今まで特に活動していなかったが、やらなければという気持ちになった」という答えが返ってきた。
就職活動直前セミナーが就活スタートのきっかけになったようだ。スケジュール後ろ倒しで、のんびりしている学生が少なくないが、このイベントを契機に就活モードに入るだろう。企業が実質的に採用活動を開始している一方で、大学もしっかり対応している。
2016年新卒採用はすでに始まっている。「3月解禁、8月選考スタート」を鵜呑みにしては危険だ。