総合地方人材を増やせ 大手生保が採用強化
地方で活躍する人材を増やそうとする動きが、企業の間で広がっている。東京への一極集中を緩和する流れの中で、人材の受け皿として地方の重要度が高まっているからだ。働き方の多様化も追い風となっており、大手の生命保険会社を中心に取り組みが進む。地方で優秀な人材が増えれば、安倍晋三政権の成長戦略の柱の1つである地方創生を、民間から後押しすることにもつながる。
住友生命保険は「すみれい」と呼ばれる総合営業職の女性のうち、将来の地方勤務を前提とした特別枠(Uターンすみれい)での2015年の採用者数を約80人と、2014年から倍増する予定だ。
営業経験生かし地元で活躍
Uターンすみれいの制度は昨年開始。地方出身の学生は入社後、東京や大阪で3~5年営業職を経験した後、故郷の道府県にある支社に異動し、管理職などになる。住友生命は47都道府県の全てに支社があり、どの地方出身の社員にも対応できる。「制度を通じて地元で活躍する優秀な人材を多く育て、支社のレベルアップにもつなげたい」(同社)としている。
仏アクサグループ傘下のアクサ生命保険も、昨年11月の札幌本社の開設に当たり、100人を地元で採用した。東京本社と2本社体制にして、地震など災害発生時に東京の本社機能を代替できるようにする狙いだ。東京本社からの異動を最小限に抑える代わりに、地元での大量採用を通じて、北海道経済の活性化にも一役買っている。
難問を解いて1次選考免除

首都圏の企業による地方での取り組みだけでなく、地方企業が優秀な人材を首都圏などから集め、地元で活躍してもらおうと工夫を凝らす動きも出てきた。
名古屋市に本社があるゲーム開発のエイチームは2016年の新卒採用で、「ATEAMトライアウト」という数学の問題数問を課す特別枠を設けた。全問正解率は1%と想定する難問だが、全て正解した学生には、通常1次から4次まである選考のうち、1次選考を免除する。今後開催する会社説明会の参加者に、問題にアクセスできる冊子「INVITATION」を配布。参加者は冊子の指示に従って難問に回答する。
「『絶対に解く』と諦めず粘り強く取り組む学生や、難題を解くことを楽しむ知的好奇心が旺盛な学生を発掘し、新しい時代を共に切り拓きたい」(エイチーム)。同社はウェブサービスのアドウェイズ、ネット広告のマイクロアドと合同で就活セミナーを実施するなどの取り組みも進める。
地方の大学でも、地元企業などでの学生の就職率を上げようとする動きが進む。立命館大学は例年11月の1回開くだけだった自己分析・PRのワークショップと企業研究の講座を、今年度は昨年11月、今年1月の2回開催した。2016年新卒向けの就活時期の後ろ倒しに気が緩み、就活の出足が鈍い学生の意識改革を促す狙いもあるという。