総合転職社員からの情報漏洩をどう防ぐ エディオン問題にみる企業の苦悩
家電量販のエディオンの元幹部社員が営業情報を不正に持ち出し、転職先の競合他社に渡したとして、不正競争防止法違反(営業秘密の取得)の容疑で大阪府警に逮捕された。情報漏洩(ろうえい)対策は政府が目指す知財立国に向けての重要課題だが、企業が社員と秘密保持契約を交わしても退職後は追跡しきれないなど、実効性に乏しいのが現状だ。
逮捕された元幹部社員はエディオン退職後の平成26年1月、同社のパソコンを遠隔操作して販促スケジュール案などを不正入手したとみられている。
元幹部社員はエディオンに対し、退職後1年間は競合他社に再就職せず秘密を保持するとの誓約書を提出していた。一方、転職先の上新電機は、こうした事情を把握せずに採用したとみられ、同社は「情報は活用していない」とする。
両社の情報交換があれば事件は防げたかもしれないが、そうした環境はない。同じ業界内の転職は、人材の引き抜きがあったとも受け止められかねず、ある家電量販関係者は「人事関連の問い合わせをしてもトラブルになるだけ」と語る。
海外の企業にスカウトされる場合も含め、退職者が“行方不明”となるケースが多発している。ライバルへの情報流出を防ぐには秘密保持契約が欠かせないが、信用調査会社、帝国データバンクの産業調査部は「当事者を追尾できてはじめて効果を発揮する」と指摘する。
しかし、人員や資金が足りない中小企業には難しく、最終的には個人のモラルに頼っているのが現状だ。情報が簡単に入手できる環境を放置すれば、企業の技術開発やノウハウ蓄積への意欲がそがれ、成長力が低下しかねない。政府は対策を企業や個人任せにせず、明確な指針を示すことが求められる。