総合春闘交渉方針 賃上げの流れを確かなものに
企業の収益増が賃上げにつながる流れを、確かなものとしたい。
収益の拡大した企業について、「賃金の引き上げを前向きに検討することが強く期待される」と明記した。基本給を底上げするベースアップについても「賃上げの選択肢の一つとして考えるべきだ」と、積極的な対応を求めた。
経労委報告はベアについて、一昨年は「余地はない」と否定していたが、昨年は「ここ数年と異なる対応も選択肢となる」として、6年ぶりに容認した。経団連が今回、さらに踏み込んだ表現で賃上げを促したことを評価したい。
昨年の春闘では、15年ぶりに2%台の賃上げが実現した。だが、消費税率が5%から8%に上がった影響を含めた物価上昇に、賃金の伸びが追いつかず、個人消費は低迷が続いている。
政府、労働界、経済界の3者による政労使会議が昨年末、経済界が賃上げに最大限の努力をすることで合意したのも、景気回復の遅れへの危機感の表れと言える。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」が奏功し、企業業績は大きく改善した。賃上げを継続することで家計の購買力を増し、消費の回復が企業業績を押し上げる「経済の好循環」の動きを本格化させることが大事だ。
労組の中央組織である連合は、「2%以上のベア」を要求している。これに対し経団連は、消費増税分を除いた物価上昇率が1%に満たないとして、大幅なベアに否定的な考えを示している。
小売業など内需型の企業や、多くの中小企業は、円安による原材料費の輸入コスト増が経営の重しになり、業績改善が遅れている。各企業の労使が、経営実態や今後の見通しについて丁寧に話し合うことが求められる。
人件費を恒常的に押し上げるベアが難しい企業も、一時金や諸手当を組み合わせ、できる限り賃上げに取り組んでもらいたい。
長時間労働の是正や、女性の働きやすい環境の整備など、労働者の総合的な処遇改善についても、労使が議論を深め、実りの多い春闘とする必要がある。
全体の4割を占める非正規労働者の雇用安定や収入増加も重要な課題だ。不本意ながら非正規に甘んじている人も少なくない。こうした人材を正社員に登用する道をどう広げるか、労使で知恵を絞らねばならない。