介護と仕事の両立難しく 転職後も正社員、男性の34%

総合介護と仕事の両立難しく 転職後も正社員、男性の34%

親の介護を理由に転職した人で、転職先でも正社員として働いているのは男性で3人に1人、女性は5人に1人にとどまることが、22日までの明治安田生活福祉研究所(東京・千代田)などの調査で分かった。転職した場合、平均年収は約半分に減少した。家族の世話を優先するため、安定的な収入を得られても、転勤などの機会の多い正社員に就いていない現状が浮き彫りになった。

調査は同研究所とダイヤ高齢社会研究財団が8~9月、親の介護を経験し、介護開始時に正社員だった全国の40歳以上の男女を対象に実施。男性1545人、女性723人の計2268人から回答を得た。

その結果、介護のために転職したのは男性412人、女性155人。介護を始めてから以前の勤務先を辞めるまでの期間を聞いたところ、1年以内の人が男性は52%、女性は56%を占めた。

転職の最大のきっかけは「自分以外に親を介護する人がいない」との回答が男女ともに20%を超え最多。転職先でも正社員として働いている人は男性が34%で3人に1人、女性は21%で5人に1人にとどまった。

正社員の場合、転勤の辞令を受けたり、社員数が少ない企業だと休暇が取りにくかったりするなど、介護と仕事の両立が難しいとされる。このため、介護を理由に転職した男性の約3割、女性の約6割は、働く時間を調整しやすいパート・アルバイトとして働いていた。

転職前後の平均年収を比較すると、男性は556万円から341万円と約4割減少、女性は350万円から175万円と半減していた。

一方、仕事を辞めて介護に専念している人は男性で412人、女性は155人いた。このうち介護を始めたときに親と同居していた割合は男性55%、女性51%。同じ仕事を継続しながら介護をしている人(男性515人、女性258人)に比べて男女ともに10ポイント以上高く、親との同居が介護離職につながりやすい傾向も明らかになった。

介護に専念している人に、以前の職場で介護休暇などの制度を利用したか聞いたところ、男性の65%と女性の63%が「特に利用していない」と回答していた。

総務省の就業構造基本調査によると、高齢化の進展で認知症の家族などの介護を理由に会社を辞める人は年間約10万人で、働きながら介護している人は約240万人に上る。多くの企業にとって、組織を支える中高年世代にのしかかる負担は経営問題となりつつある。

同研究所は「介護離職などを防ぐため、企業は介護と仕事を両立できる制度を整えるとともに、利用につながるよう従業員への周知を徹底する必要がある」と指摘している。