総合埼玉の深谷組、野球部発足で採用に弾み
土木建設の専門工事を手掛ける深谷組(さいたま市、深谷和宏社長)は12月、実業団の硬式野球部を発足させる。建設業の人手が不足する中での人材確保策の位置付けで、来春は大卒・高卒を合わせて計19人が野球部員として入社する。一般社員と同じように働き、平日夜や週末に野球部員として活動。実業団運動部を持つことが、人材確保に悩む中小企業の採用策として定着するかが注目される。
来春野球部員として入社するのは大卒10人、高卒9人で、大学野球や高校野球の全国大会出場経験者も含まれる。野球部員以外も含めて来春の新入社員は計29人に上る。同社の従業員数は現在、約90人。
ここ数年は10~20人程度を新卒採用してきたが、野球部の発足で採用に弾みがつく。今秋に宮城県内と神奈川県内に営業所を開設しており、人材確保が急務なためだ。
硬式野球部のチーム名は「深谷組野球倶楽部(くらぶ)」で、監督には社会人野球出身の同社社員、佐藤レナン勇さんが就く。社員3人も野球部員となる。年間3千万円程度の部活動費は会社が負担するが、「不人気職種にこれだけの人材が集まったのは、野球部効果が大きい」(深谷社長)。
本格的な活動は来春以降で、当面の目標は来年の都市対抗野球大会予選出場だ。専用グラウンドはなく、公営施設などを借りて練習する。野球部員は高卒で5年程度、大卒で3年程度を「現役期間」と想定する。野球部員を終えた後は、一般社員として働き続けることができる。
有力な野球部を抱える大学が各地に広がり、大学野球の選手層が厚みを増す一方、大企業が実業団野球部を休止する動きもあり、「大学野球の選手の卒業後の受け皿が少ない」(佐藤監督)。選手が実業団野球部で活躍したり、プロ野球選手を輩出したりできれば、新卒採用のPR効果は大きいとみている。深谷組は2016年にも8人前後を野球部員として採用する計画だ。
野球部員は原則的にさいたま市の本社所属だが、同社は将来的に、宮城や神奈川の営業拠点で硬式野球部を持てるようになれば、各地の地元人材の確保に一層弾みが付くと期待している。
実業団運動部は野球以外にも、サッカーやラグビー、長距離陸上競技など様々な種目がある。深谷組の関連企業には、体育会系学生の就職支援を手掛ける会社もあり、深谷社長は「硬式野球部が軌道に乗れば、チームのつくり方や運営方法などのコンサルティング事業に応用できる」ともみている。
深谷組の14年5月期の売上高は約6億円。