近畿の自治体、病児保育を強化 女性の就業支援

女性雇用近畿の自治体、病児保育を強化 女性の就業支援

近畿の自治体が急な発熱など病気になった子どもの面倒を、仕事がある親に代わって一時的に見る病児保育サービスを強化している。小さな子どもを持つ女性は看病で仕事を急に休みがちだとして雇用を敬遠される傾向がある。安心して利用できる公的サービスを充実し、就業機会の拡大につなげる。従来の施設型に加え、大阪市のように家庭への訪問型を取り入れ、利便性を高める動きもある。

大阪市は国の補助制度を活用し9月から都島、旭、鶴見の3区で訪問型の病児保育を試験的に始めた。施設型で実績のある市内の病院に事業を委託した。派遣スタッフの確保を進め、今年度中に東成、生野、城東の各区にも広げる方針だ。

前日の午後5時までに予約すれば、当日の朝から家庭に派遣されたスタッフが親に代わって、通常の保育所で預かってもらえなくなるなどした病気の子どもを、病院に連れて行ったり看病したりする。利用料は1日7800円で、所得に応じた減免措置もある。10月末までに利用を希望する15人が登録した。

同市は8カ所で施設型サービス(利用料は1日2000円)も提供する。年間利用者は計6千人ほどで、増加傾向にある。

施設型は風邪をひきやすい冬場などに忙しさが偏る一方、設備や常駐スタッフを抱える必要があり公的補助があっても採算が確保しにくいという課題を抱えている。大阪市は2区に1カ所程度、計13カ所の病児保育施設の開設を目指してきたが、事業者の確保が進んでいなかった。訪問型の導入は、目標数になかなか到達しない施設型サービスの立地の偏りを解消する狙いもある。

同市内では淀川区も今年度から独自に訪問型サービスを本格化した。月会費3240円で毎月1回、所定時間の保育を利用できる。9月末の登録者は65人。同区には市の施設型拠点がなく、昨年度に民間6事業者に助成して訪問型を試行。使い勝手などを考慮し、NPO法人のノーベル(大阪市)に事業を委託した。

ノーベルは独自の会費型料金制などにより採算を確保しながら市全域と周辺にサービスを広げている。「人口減への危機感や働く女性を応援しようという意識の高まりを受け、自治体の問い合わせが増えている」(高亜希代表理事)という。

訪問型よりも安い料金で利用できる施設型サービスに関しても新たに始めたり、拡充したりする動きが広がっている。

大阪府豊中市は今年度中に病児保育施設への助成を始める計画で、まず2カ所を選ぶ。兵庫県では明石市が10月、初の病児保育室を既存の病院内に開設した。

神戸市は13カ所ある病児保育施設を、唯一未整備の兵庫区などで「増やす予定」(子育て支援部事業課)。京都市は施設拡大などで病児・病後児保育の延べ利用者数を今年度の3382人から、19年度に約2倍に増やす計画だ。堺市には病児・病後児向け施設が3カ所あるが、今年度に1カ所の増設を検討している。

事業者の大半赤字 採算確保が課題に

総務省の調査では、育児をしている25~44歳女性の就業率(2012年)は近畿2府4県で43.2~53.0%(全国は52.4%)だった。20~59歳の全女性では56.0~78.1%。働きながら子育てする難しさがうかがえる。

国の補助金を受ける施設型病児保育は厚生労働省が看護師や保育士などの有資格者を一定数置くよう義務付けている。仕事を持つ女性が病気になった子どもを安心して預けられる施設として、国の子育て支援策でも、補助拡充などが検討されている。

厚労省の助成を受けた研究班の全国調査によると、国の補助金を得る病児保育施設でも66%(12年度)が赤字と答えた。人手不足で有資格者をはじめとする人材確保も難しくなっており、事業者の採算確保へ官民で模索が続いている。

研究班の代表を務める京都府立医科大学男女共同参画推進センターの三沢あき子副センター長は「安心な病児保育体制を拡充しなければ、通常の保育所だけ増やして待機児童を解消しても女性の社会参加は進まない」と指摘する。