目標達成に向けて責任ある行動を取るための3つの戦略

総合目標達成に向けて責任ある行動を取るための3つの戦略

キャリアの初期は、周囲に助言やサポートを求めることを躊躇しなかったはずだ。ただし、目標を達成するために支援を受ければ、サポートしてくれた人たちにアカウンタビリティ(結果に対する責任)を負うことになる。

そしてキャリアで成功を収めるほど、自分の能力不足を露呈することを恐れて、この責任を回避するようになる。これは個人の成長を妨げ、キャリアプラトー(キャリアの停滞)を招く要因になりかねない。本稿では、アカウンタビリティから逃げることなく、目標達成を最優先する仕組みを構築するために、3つの戦略を紹介する。
キャリアの初期、あなたは生きいきと仕事に向き合っていたことだろう。メンターや上司に助言を求めて、彼らの知恵を吸収することで手ごわい山を登ろうとしていた。

しかし、仕事で成功を収めると下を見ることが怖くなる。山の頂上に立つのは、恐怖を伴う体験だ。そこから転げ落ちれば、失うものがあまりに多い。この段階になると、誰かに助けを求めることは学習体験ではなく、自分の能力不足を露呈する行為に思えてくる。

成功すればするほど、人はアカウンタビリティ(結果に対する説明責任)を負わなくなる。誰に対しても責任を負わないというわけではない。「法務チームを率いる」「会社を取り仕切る」「部署を運営する」など、自分の目標が主観的なものになっていくのだ。この場合、どのような結果になろうと「ベストは尽くした」と言えてしまう。

並行して、あなたのスケジュール表は「本来やるべきこと」ではなく、「やらなければならないこと」で埋まるようになる。たとえば、自分が付加価値をもたらせるとは思えない会議に出席することになり、真に効果的なタスクやプロジェクトのための時間を捻出することに苦労するのだ。

このようにアカウンタビリティが低下し、「やらなければならないこと」が膨れ上がり、無能だと思われることに対する恐怖心が高まることで、キャリアプラトー(キャリアの停滞)に陥ることが多い。スキルを磨こうとする努力をやめれば、成長が止まる。実に単純な話だ。

このような成功の罠を回避するために、どうすればよいのか。意志の力だけに頼るのではなく、自分の行動の結果に責任を負う仕組みをつくることが有効だ。

本稿では、そのための方法を3つ紹介したい。

(1)パートナーの力を借りる

筆者は数年前、自分に対する講演依頼を増やすために何をすべきかを考えた。自分に必要なのは、講演の前に何度か練習する機会を設けることと、講演内容に関してより質の高い建設的批判を受けることだと考えた。

しかし、筆者はそれを実践できずにいた。その原因は、恐怖心を抱いたり、ともすれば怠惰だったりしたのかもしれない。そこで、自分の行動により責任を持つための仕組みづくりが必要だと考えた。

筆者が置かれた状況を理解するうえで、有用な研究結果がある。タレント開発協会(ATD)の研究によると、目標を達成できるかどうかは、あなたがどれだけ具体的な目標を設定し、自分の行動にどの程度責任を持てているかで決まる。

ある目標を追求すると決めた場合、その成功確率は10%~25%だ。しかし、自分にとって大切な人に目標を伝えることで、その確率を65%まで引き上げることができる。さらに、その人と定期的に会い、進捗状況を報告するようにすれば、成功確率は95%に跳ね上がる。

にわかには信じられないかもしれない。そこで筆者は、この研究結果を検証することにした。ある友人を雇って筆者の「ボス」になってもらい、自分が達成したい重要な課題に関して、その結果の説明責任を負うことにしたのだ。

ばかばかしいことだと思えるかもしれない。しかし、ボスを務めた友人が自分を解雇する権限がないことはわかっていたが、筆者はこれを実践することで大きな成果を上げた。自分の友人を失望させたくなかったからだ。

筆者は講演前の数週間、この友人を相手にスピーチの練習をするようになった。彼は、講演のわかりにくい部分や退屈な部分を修正するためにアドバイスをしてくれた。講演当日の朝には、ビデオ会議システムを使って最終リハーサルを行った。

このように練習量を増やした結果、講演者として推薦してもらえる機会が多くなり、講演依頼が続々と舞い込んでくるようになった。

(2)目標を公表する

自分のアカウンタビリティを果たすボス役を雇うことが、常に必要というわけではない。しかし、自分の目標を忘れないようにする仕組みは不可欠だ。

ある研究によると、新年の誓いを達成できている人はたいてい、「刺激制御」と呼ばれる手法を実践している。自分の目標を再確認する機会を頻繁に設けるのだ。

筆者の場合、自分に課した大きな目標について、できるだけ多くの人に話すようにしている。たとえば、筆者は昨年、懸垂ができるようになりたいという目標を立てた。それも1回だけでなく、20回連続でできるようになりたいと思ったのだ。この目標に向けて努力を続けるためには、多くの刺激制御が必要とされた。

そこで、この目標を別のもう一つの大きな目標と組み合わせることにした。ビッグ・ブラザーズ・ビッグ・シスターズという非営利団体のために、2万ドルの募金を集めるという目標だ。筆者は、誰かが5ドル募金してくれるたびに懸垂を1回行うという公約を立てた。募金額に応じた回数の懸垂を行い、その様子をソーシャルメディアに公開することにしたのだ。

ソーシャルメディアに投稿することで、募金が増えただけではない。友人や知人と会った時、筆者の取り組みがしばしば話題に上るようになった。そうして自分の行動に重大なアカウンタビリティを負うことになり、意志力だけに頼る場合とは比較にならないほど熱心に取り組むことができた。最終的な募金額は2万6000ドルを超えた。

コミュニティの力は侮れない。たとえば筆者は以前、新たなスキルを習得するために新しいマーケティングの本を読みたいと思ったことがある。しかし、時間を確保できず最後まで読み通せないのではないか、せっかく本を読んでもそのアイデアを実行に移せないのではないか、という不安を抱えていた。

そこで、筆者は小さな読書サークルを立ち上げ、数人の意欲的な人たちと一緒にその本を読むことにした。研究によると、目標の達成を目指すグループをつくり、ほかの人たちとともに努力すれば、その取り組みに対する自分の関心が強まり、レジリエンスも大きく高まるので、成功を収める確率も大幅に上昇するという。

(3)環境を変える

本を執筆する、昇進を果たす、人生に大きな変化をもたらすなど、長期的な目標を達成するまでのプロセスは複雑で、いくつもの段階を経る必要がある。困難に直面した時に熱意を失うことも多い。意志の力だけでやり通そうとしている場合は、特にそのような結果になりがちだ。目標をたびたび達成してきた人はたいてい、自己制御(セルフコントロール)だけに頼るのではなく、環境を変えたと語る。

実際、フロリダ州立大学の研究によると、セルフコントロールを高レベルで実践した実験参加者たちは、目標追求を妨げかねない誘惑を最小化するための措置も講じていた。このような人たちは、たしかに人並み以上の意志力を持ち合わせていたのかもしれない。しかし、彼らが成功を収めた理由は、セルフコントロールする力を活かして、集中の妨げになる要素や、目標達成のじゃまになる衝動を回避しやすい環境を選択したことにあった。

たとえば、インスタグラムを見ないように意志の力を振り絞るのではなく、スマートフォンを家に置いてきたり、アプリをブロックしたりする。誘惑をはねのけるのが最も得意な人たちは、みずからの衝動と戦うことにそれほど時間を費やしていない。環境を最適化することで、誘惑そのものを遠ざけているからだ。

目標に向かって無理をしながら突き進もうとするよりも、目標を達成しやすい環境に身を置くことを考えよう。たとえば、目標達成に関して法的拘束力のある契約を結べば、そこに向けて着実に前進することが個人的な利害と直結する。

筆者もそれを実践している。自分にとって特に重要な目標については、それを達成する法的義務を自分に課すようにしているのだ。

ポッドキャストを始めた頃、筆者は毎週新しい番組を公開することに苦労していた。週を追うごとに、番組公開の時期が遅れるようになった。そこでスポンサーを見つけて、52週間にわたり番組を支援してもらうようにした。筆者は契約上の責任を負うことになり、ポッドキャストを公開するという課題はまったく異なる意味を帯びるようになった。公開の遅れが、ぜったいに許されないことに変わったのだ。

同じように、本を執筆している時に共著者がいると、その人に対して締め切りと内容に関する責任を負うことになるので、目標を達成しやすい。途中で意欲を失うのが避けられるのだ。

キャリアで急上昇を遂げたあとに停滞期に陥ることは、けっして珍しいことではない。その原因は、あなたの意志力が欠如しているからではない。あなたに成長の能力がないというわけでも断じてない。人がキャリアプラトーに陥る根本原因は、成功について回る恐怖心であることが多いのだ。

その状況を自分の力だけで切り抜けようとするのは、やめたほうがよい。自分以外の人の力を再び借りることで、アカウンタビリティを強化し、あなたの潜在能力を最大限に解き放とう。