すき家「もうワンオペやめます」の本気度

総合すき家「もうワンオペやめます」の本気度

「やり方に問題があれば変える。ルールに問題があれば変えるという考え方です」。第三者委員会による報告書の提出から6日後、ゼンショーホールディングス(HD)の小川賢太郎会長兼社長は会見でこう語った。

8月6日、牛丼チェーン「すき家」を全国展開するゼンショーHDは、深夜時間帯の一人勤務体制(ワンオペ)について、9月末までに全店舗での解消に取り組むと発表した。同社が設置した第三者委員会では、接客から清掃、調理などすべてを一人でこなすワンオペについて「過酷なもの」と指摘し、「深夜時間帯における一人勤務体制の解消を早急に実現すべき」と提言。だが、委員会の報告書が公表された7月31日、事業会社ゼンショーの興津龍太郎社長は「適正な人員配置ができるように努力する」とし、具体的な方針を示していなかった(関連記事「それでも「すき家」は店を出す」)。

ワンオペを二人勤務体制に変える

その後、社内で議論を行い、「可及的速やかにやめるべきではないかという結論に至った」(小川会長)。現在、全国で約2000店あるすき家のうち、940店でワンオペが続いている。全店の解消に向けて、近隣店舗からの人のやりくりや、外国人留学生の採用強化を進める。それでも人の手当がつかない店舗は、10月1日以降、深夜時間帯(0時~5時)を中心に営業を休止する。

今回、ゼンショーHDはワンオペ解消の取り組みと併せて業績見通しの下方修正も発表している。2014年度の売上高は従来予想から128億円減の5250億円、営業利益は同78億円減の80億円まで引き下げた。この見通しは、人手不足に伴う3月以降の一時休業や、食材価格の上昇、人件費増加といった要因に加え、940店でのワンオペがひとつも解消できないというワーストシナリオに基づいたものだ。

業績見通しは保守的にしたものの、小川会長はワンオペの解消について、人のやりくりで「まずは半分。460から470店というところにはすぐに持っていけるのではないか」と会見で述べた。9月末にワンオペの解消がどこまで実現できるかが、今期の業績を左右することになる。

出店については「やめるというのも一つの判断かもしれない。だが、お客様に愛されて成長してきたことを誇りに思っている。店をガンガン出すのではなくて、必要なところには出させていただきたい」(小川会長)と、今後も続ける方針を示した。

しかし、出店計画自体は下方修正しており、当初計画は出店60・退店ゼロだったものを、人手不足や委員会からの答申も踏まえて、出店38・退店28店に見直した。これで店舗純増は10店となり、前期の71店(出店85、退店14)から出店ペースはかなり落ちる。営業利益が当初見通しから大幅に低下し、退店ゼロの計画が28店に膨らんで特別損失も発生するため、通期の最終損益は13億円の赤字に沈む見通し。実際に赤字となれば創業以来、初のことだ。

業界最安値の牛丼価格は値上げ

加えて発表されたのが、牛丼価格の値上げだ。8月27日から牛丼並盛りの価格を270円(税込み)から291円に引き上げる。3月末まで大手3社の牛丼並盛りは280円で横一線だったが、4月からは吉野家が300円に、松屋は消費増税分を転嫁した290円に改定。一方、すき家は「増税で所得が目減りする中、お値打ち感のある牛丼を提供したい」(広報室)とし、値下げという逆張りの手法を打ち出した。これは1982年の創業以来、最安値だった。

ところが、今年4~6月までに同社が仕入れる牛丼用部位の平均価格が豪州産で36%、米国産で28%も上昇したことで前提は大幅に狂った。さらに、「経営努力を続けてきたが、時代の変化に対して労働条件を改善し、お客様へのサービス水準を上げていくため、その原資となる粗利益を確保して、経営のバランスをとらないといけない」(小川会長)として、値上げに舵を切った。

小川会長は6日の会見で、ワンオペの全店解消を決めたことについて、「24時間365日、お客様に来ていただく業態という意味では、基本的に変わらない。ただ、何が何でもやるのではなく、営業時間についてはフレキシブルな運用をやる。そういう意味にいおいて(ビジネスモデルを)変更する」と語った。創業から32年で店舗数は1984店(7月末現在)まで拡大したが、2000店という大台を前にすき家の展開は大きな転換点を迎えている。