組織・制度スポーツと企業、マネジメントは同じ 高橋由伸さんと識学安藤社長が対談
プロ野球、巨人の中心選手として活躍し、2016年から3シーズン、監督を務めた高橋由伸さんと、人と企業を成長させるマネジメント方法「識学」が2,500社以上に導入されている経営コンサルタント、株式会社識学(東京)の安藤広大社長が、BSテレビ東京の番組、「日経ニュースプラス9」で対談、スポーツと企業のマネジメントについて語り合った。
安藤さんも大阪・北野高、早稲田大でラグビーをプレーしてきたスポーツマンだけに、互いに感じ合える部分も多く、話は盛り上がった。(画像提供BSテレ東)
個人の成長が企業の成長
対談は2人にとって思い出の場所、神宮球場と秩父宮ラグビー場を望む部屋で行われた。テーマになっている「スポーツと企業のマネジメント」について、安藤さんは両者は基本的に一緒とした上で「個を尊重するあまり、個が成長しない。気持ちよく、モチベーションを高めて働いてもらいたいと配慮し、自分の不足と向き合う機会を奪っている企業が多い。これでは個人も企業も成長しない。日本の課題だ」と指摘した。組織づくりの一例として、安藤さんは識学が買収したバスケットボールBリーグ2部(B2)の福島ファイヤーボンズを採り上げ、説明した。運営1年目は選手のケアを重視したが、シーズン半ばでチームの勢いは失速。識学を反映し2年目の今季は、シーズンを通じて鍛錬の蓄積にも力を入れると、けが人が減り後半戦に入ってもチームは上位を維持しているという。

頑張りには明確な基準なし
マネジメントの重要要素である「上司と部下の関係」について、安藤さんは①距離感を保つ ②直属の上司は1人 ③評価は報酬で|の3つのポイントを挙げた。①については「距離感を保ち無機質な関係が理想」と言う。高橋さんは現役を引退した後、コーチを経ずに監督就任。当時、人によっても助言が異なり、選手やコーチとの関係性に頭を悩ませたそうだ。
②は多くの組織で見られる現象で、コーチを越えて監督が選手にアドバイスしたり、課長の頭越しに部長が指示したりするなどのケース。責任が曖昧になり、組織としての機能が停止する危険性があるという。高橋さんも、専門の打撃については口を出したくなる瞬間があったという。
③は、結果重視で過程は考慮しないことを意味する。事前に設定された定量を目標に定め、その達成度で報酬を決める。頑張りには明確な基準がなく、評価の対象にすると不公平が生じると安藤さんは強調する。年功型重視の日本社会では、これも難しいテーマだ。プロ野球は成績という絶対的な基準があるものの、評価者が監督なのかフロントなのかで、ずれが生じることもあると高橋さんは言う。

青学大、落合監督も話題に
番組では短くまとめられているが、放送されなかった部分でも貴重な話が多く聞かれた。例えばリーダー論の中で、安藤さんは無機質の意味の一つとして、正月の箱根駅伝を制した青山学院大の原晋監督の例を紹介している。10人のメンバーから外れた選手にフォローの言葉は掛けない。その理由は、選ぶための明確な基準を設定しているので、全員がそのルールに従っただけだからだ。 また、そのクールな指揮をまとめた著書がベストセラーになっている落合博満・中日元監督について、安藤さんは役職と役割を明確に分け、感情を排したマネジメントと評価する。高橋さんは現場経験者らしく、責任と同時にすべての権限も与えられていたからではないかと推測するなど、テーマに深みと広がりがあり、興味が尽きない対談となっている。