中途キャリアの浅い人が転職しないほうがいい中小企業の見極め方
キャリアの浅い人が、中小企業に転職する時、避けたほうがいい会社の選び方について解説したい。ここでは、社会人になってまだ、5年以内くらいの人を「キャリアが浅い人」とし、この記事で取り上げる中小企業は、基本的に正社員の数が300人以下とする。本来、中小企業基本法では、中小企業の定義は定まっているが、ここでは省略させていただくものとする。
1.「ホームページ」がない会社
今の時代に、ホームページがない会社があるのかと疑問に思う人もいるかもしれないが、実際にはたくさんある。私は、1年に20~30社ほどは中小企業を取材する。そのうち、3~5社はいくつもの検索エンジンで調べても、ホームページもブログも見当たらないケースが多い。また、求人広告サイトで、新卒や中途の募集をかけた痕跡もない。こういう会社に取材にいくと、事務所はマンションの一室を借りていて、社員数が5~10人ぐらいというケースが多い。これもまた、法律上「中小企業」と呼ばれるものの、会社としての体裁を整えておらず、キャリアの浅い人を育成するノウハウがない可能性が高い。キャリアの浅い人にとっては、そういう意味でリスクの高い会社といえる。
2.「売り上げが10億円以下」の会社
中小企業やベンチャー企業を選ぶ上で「10億円の壁」は外せない。会社は成長していくと、その都度、壁にぶつかる。創業期から最初にぶつかる大きな壁が「10億円の壁」といわれる。これは、経営者や側近である役員、一部の社員だけでは稼ぐことのできない売り上げで、全社員がチームワークを組んで稼がないと到達できないものだ。ところが、すべての社員のレベルを底上げし、全員の力で稼ぐ体制を作ることは、容易ではない。
現実的には、そのような努力をするより、経営者や役員、一部の社員だけで稼いで場合が多い。「10億円以下」の多くの会社の場合、資金繰りが苦しく、時間をかけて丁寧に人を育てる余裕がないからだ。結局、経営者や役員、一部の社員が中心の組織になり、その中に入れない社員たちは、しらけて辞めていってしまう。それが繰り返されると、売り上げは伸び悩み、いつしか売り上げ数億円の会社として、低迷するケースが多い。これが、多くの中小企業が陥る「10億円の壁」だ。
前述のとおり、このような会社の場合、人材を育成する習慣が浸透しておらず、ノウハウも蓄積されていない。10~15年ぐらいのキャリアがある人ならともかく、経験が浅い人が入社しても、次々と困難に出くわすはずだ。
3.求人広告に「ウリ」がない
転職を希望する会社の求人広告を、最近のものだけでなく、過去3年分くらいをネットで探してみよう。求人広告には、本来、その会社の人事面での「ウリ」「セールスポイント」があるものだ。例えば「独立支援制度」や「育児との両立が可能」といった謳い文句だ。私は、2006~2009年に求人広告を数百本書いた経験がある。ある程度、内情を心得ているが、「ウリ」がない中小企業が少なからずある。それは、社員数でみると100人以下の会社に集中している。
「ウリ」がないと、書く材料がないから、同じような内容のことが繰り返し書かれている場合が多い。求人広告をみて、「ウリ」の部分が見つからなかったり、曖昧だったり、薄かったり、同じような意味合いがいくつも書かれている場合、その会社に入ることは熟考すべきだ。何も「ウリ」のない会社は、離職率が高く、人を育成するシステムが機能していないことが多いのだ。
4.新卒採用より中途採用に熱心
中小企業の場合、特に新卒(高卒・専門学校・大卒など)を毎年、正社員として採用することが難しい。大企業や中堅企業のように財務的な余裕がなく、採用試験を丁寧に行なう時間やコストがないからだ。面接官の数すら足りない場合もある。ごく少数だが、毎年、数人のペースで新卒を採用している会社があるので、このような会社を見つけてエントリーをしたほうがいい。多くの中小企業は急場をしのぐため、中途採用を繰り返し行なっているケースがほとんどだ。つまり、こういう会社は、人材を育成することより、即戦力を増やすことしか考えていない。新卒採用に熱心な会社であるかどうかは、ホームページの「採用」「求人」「エントリー」といったページや過去の求人広告をみると、ある程度は判断できる。社長のブログなどで、確認するのもいいだろう。
5.職場のOJTや社員同士の交流の場がほとんどない
採用と人材の定着・育成は表裏一体だ。定期的に新卒採用を行なっており、20代の若手社員が定着している会社は、人材育成制度がきちんと機能しているといっていいだろう。他にも、例えば、ふだんから社員間のコミュニケーションが活発でなければならない。職場での会話だけでなく、会社の上層部がコミュニケーションの場を作っているかどうかも、ポイントだ。あるいは、社員育成のためのOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)が行なわれているかも重要だ。
だが、OJTが行なわれているか、社員間のコミュニケーションが活発かどうかは、その会社のホームページや求人広告を見たぐらいではなかなかわからない。在籍者や退職者になんとか接触して、内情を聞いてみることが大切だ。それが難しいなら、Facebookなどを使い、その会社の社員を見つけ、ウォールに書いている内容をチェックしてみよう。
例えば、社員間の飲み会やイベントなどに参加している人が多く、それらを会社の上層部がリードしている気配が窺えれば、まともな会社だといえるだろう。ただし、年に1~2回より、毎月、何らかのイベントが催されているようならば、会社側が社員を定着させて、育成しようという意思をもっている可能性が相当高いと判断していいだろう。
中小企業に入る場合、様々なリスクが伴う。中堅・大企業より、はるかにそのリスクは高い。だからこそ、焦らず、できるだけ時間をかけて会社のことを調べておきたい。リスクは高いが、中にはすばらしい会社もある。そのような会社と出会うためには、できる限りの準備をしておくことが大切だ。