「契約社員など有期雇用社員も希望すれば無期雇用に転換可」 人事担当者も知らない?

総合「契約社員など有期雇用社員も希望すれば無期雇用に転換可」 人事担当者も知らない?

2013年4月の改正労働契約法の施行により、有期雇用社員(契約社員、パートタイマー、アルバイト)が希望すれば無期雇用に転換できるというルールとなったが、この「無期転換ルール」はほとんど知られていないようだ。というのも、人事担当者に限って聞いた調査ですら、認知度は66%にしかならなかったのだ。

無期雇用転換の認知度は66%

調査,エン・ジャパン
(写真=PIXTA)

この調査は、エン・ジャパンが運営する『エン 人事のミカタ』がサイトの利用企業を対象に行った。アンケートには513社が回答、うち8割が従業員数300人以下の中小企業。

これが適用されるには、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超える必要がある。改正労働契約法が施行された2013年4月以降の契約が対象となるので、「有期雇用社員の無期転換ルール」を適用した契約が発生するのは、2018年4月以降となる。

そういった経緯を踏まえながら結果を見ていこう。調査には対象企業の人事担当者または経営者が回答した。

「有期雇用社員の“無期転換ルール”を知っているか」との問いには、「内容も含めて知っている」が66%、「名称だけ知っている」が21%、「知らない」が13%という結果だった。無期転換申込権の発生が近づくなか、認知している担当者は66%にとどまっている。

8割近くで周知が行われていない

各企業の対象社員の現状はどうか。有期雇用社員(契約社員、パートタイマー、アルバイト)を雇用している企業に「2018年4月~2019年3月までに労働契約が通算5年を超え、無期雇用転換の対象になる有期雇用社員はいるか」と質問したところ、「はい」57%、「いいえ」37%、「わからない」6%となった。

半数以上の企業で2018年4月からの1年間に対象となる社員がいることが分かった。ではルールへの対応は進んでいるのだろうか。

まずは有期雇用社員への周知が必要になるが、「無期雇用転換ルールについて周知を行う予定があるか」との問いでは、「すでに周知した」21%、「これから周知する予定」30%、「周知しない」9%、「わからない・未定」36%となった。8割近くの企業で未だ周知が行われていない。

無期転換ルールへの対応

有期雇用社員を雇用している企業に「ルールへの対応をどのように進める予定か」と聞いたところ、67%が「無期転換を視野に進める」という回答だった。

その内訳は、「該当者から申し込みがあれば無期雇用に転換する(45%)」、「条件を定め、条件を満たせば5年以内でも無期雇用に転換する(17%)」、「有期雇用を止め、雇い入れ時から無期雇用にする(5%)」となっている。

その他の回答としては、「有期契約が更新を含め通算5年を超えないように運用していく(7%)」、「有期雇用社員を派遣や請負に切り換えていく(1%)」などが挙がった。

労働条件や待遇の変更

「無期雇用に転換する場合、労働条件や待遇の変更を行うか」との質問に対しては、「有期雇用時と労働条件や待遇は変えない(54%)」、「正社員と同じ労働条件や待遇に変更(16%)」、「正社員に近い労働条件や待遇に変更(13%)」などの回答が挙がった。

さらに「具体的に変更する労働条件・待遇は何か(複数回答可)」を聞いたところ、次のような結果となった。ランキング形式で紹介する。

1位 「賞与」86%
2位 「基本給」74%
3位 「退職金」64%
4位 「有給・特別休暇の付与」59%
4位 「諸手当(通勤手当以外)」59%
6位 「勤務時間、勤務日数」47%
7位 「通勤手当の支給有無、通勤手当の支給上限」38%
8位 「安全管理・災害補償」23%
9位 「食堂、更衣室など施設の利用」7%

考えられるメリットとデメリット

無期転換ルールのメリットとして、人事担当者からは「有期雇用社員のモチベーション向上につながる」「定着率が向上する」などの意見が挙がっている。一方、デメリットとして「不況時や閑散時において雇用調整が難しくなる」「人件費他のコストが増える」といった声もある。

無期雇用転換の申し込み開始が近づくなか、方針が定まっていない企業はまだまだ多い。対策が後手に回ることのないよう準備を整える必要があるだろう。(渡邊祐子、フリーライター)